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2024年8月23日(金)

米品薄 客も店も悲鳴

開店後すぐ完売 見つけ次第買う

 行く先々のお店で品切れ―。いま店頭はどこもお米が品切れか品薄状態で、市民もお店も頭を抱えています。東京都内のスーパーを訪ねました。(取材班)


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(写真)供給の不安定を理由に、米の値段を1割値引きするウィークエンドサービス中止のお知らせを掲示したスーパー=22日、東京都北区

 北区のJR東十条駅から続く商店街の先に位置するスーパー「コモディイイダ東十条店」では22日、午前9時半に約20袋あった5キロの米が午前11時すぎには売り切れました。米が並ぶ商品棚には「お米は容量にかかわらず一家族様1点限り」との張り紙もありました。

値段2~3割上昇

 米を買いに来た男性(88)は「米がないなんて初めてで驚いた。妻が入院していて一人なので、パンやそうめんであと半月ほどもたせようと思う」と話します。

 米が買えなかったと話す女性(53)=同区=は、「7月下旬あたりから米を見つけたらすぐに1袋買うようにしています」と言います。家庭は4人家族です。「5キロの米は1週間ですぐに食べ尽くしてしまう。特に社会人の息子がよく食べるので、切らさないよう、複数のスーパーを、仕入れがある曜日に回っています。仕入れがある日も、棚にないことが増えてきた」

 店長は、「今月に入ってから、米の品薄が続いていてお客さんに『いつ入ってくるか』とよく聞かれます。数十袋入ってくる日もありますが、開店後すぐに売り切れる状況です。値段も昨年度よりも約2~3割上昇している」と言います。

分かっていた不足

 茨城県古河市の秋庭繁さん(日本共産党古河市議)の田んぼでは、温暖化対応品種「一番星」の刈り入れが始まっています。晴れ間を見ながら、コンバインが軽快に稲を刈り取ります。

 新米の豊作に喜ぶ秋庭さんですが、「店頭に並んでも価格はそれほど下がらないだろう」といいます。

 さらに秋庭さんは「今回のように米が足りなくなることは6月ごろから分かっていた」。どういうことでしょうか。

米不足 食料支援も直撃

元凶は自民農政

生産量削減・市場丸投げ

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(写真)空になったスーパーの米の棚=東京都内

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(写真)秋庭繁さんの田んぼでは温暖化対応品種の「一番星」の刈り入れが行われています=22日、茨城県古河市

 全国の店頭で起きている米の品切れ、品薄。20日から米が品切れ状態という「スーパーみらべる東十条店」(東京都北区内)の店長代理は「入荷して2日で売り切れた。発注の2割程度しか入荷できていない。値段も上がっています。9月以降の入荷の見通しも立たない」と、その深刻さを語ります。

 新米の収穫に汗を流している秋庭さんは、6月に予兆を感じ取っていました。「周辺では田植えが始まる頃から、業者が米を求めて頻繁に農家を回っていた。業者が提示してくる買い取りの値段も去年より大幅に上がっていた」といいます。

 かといって、米農家がもうかっているわけでもありません。「肥料や農薬、燃料なんかが、ものすごく上がってしまった。政府は再生産には60キロで1万5600円とか1万6000円が最低限必要といっているが、実際には1万8000円から2万円くらいでないと農家はやっていけない。実際、業者が提示する新米の買い取り価格はそれくらい」と語ります。

 深刻な米不足は食料支援で奔走する現場も悩ませています。「フードバンクぎふ」理事の船田伸子さんは、大手薬局チェーン店から毎月提供されてきた米が「7月と8月はゼロ。そのほか、提供の契約をしているお店からも『余剰がない』と言われた。去年のフードバンク利用者は一昨年の倍になり、その3割は子育て世代。いつも5キロ渡すところを2キロで渡している」と厳しい現状を語ります。

 農民運動全国連合会(農民連)の長谷川敏郎会長は「最大の原因は政府が米の消費は減るものとして毎年、毎年生産量を削減してきたことにあります」と指摘します。

 農水省の発表でも米の消費量が増えています。ところが「7月の米に関わる農水省の部会で提案された方向は、今後も米の消費量は減るという認識です。米を市場に丸投げする政策を続ければ、今後も同じようなことが繰り返される」と長谷川さん。

 「政府が取れる唯一の方策は、今後お米の生産を大幅に増やすというメッセージを出すこと」と強調します。


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