2024年8月21日(水)
辺野古 大浦湾で着工強行
完成見通しなく海破壊
海底にくいを打ち込み
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、防衛省は20日、軟弱地盤が広がる大浦湾で本格工事に着手しました。政府は圧倒的多数の県民の反対の民意を無視し、「代執行」で県の権限を奪い、工事を強行しました。
同日着手したのは、大浦湾北側の「A護岸」付近。大型クレーンを積んだ作業船が午後2時17分ごろ、金属製のくいを海中に投入し、約30分かけて打ち込みました。午後4時時点で計2本のくいを投入しました。作業船の近くには十数本のくいを積んだ台船が停泊しており、今後数日をかけて打ち込むものとみられます。
現場では市民が船舶やカヌーに乗って海上で抗議するほか、付近の砂浜で「大浦湾の埋め立てをやめろ」「サンゴを壊すな」と声を上げました。
防衛省は辺野古埋め立て承認の「留意事項」に基づき、県との事前協議を行っていましたが、8月1日から大浦湾で着工すると一方的に宣言。県は事前協議が調うまでは着手しないよう要請していましたが、同省は「工事そのものではないため協議の対象外だ」と拒否しました。
同省は、くい打ち試験を7月3日に開始するも、作業船がサンゴを破損したことが発覚し、作業を中断。台風の影響もあり着工が遅れていました。
政府は大浦湾での工期を「9年3カ月」としていますが、軟弱地盤の改良には、7万本超の砂くいを打ち込まなければなりません。20日の作業ペースだと数十年はかかります。
また、軟弱地盤は最も深い地点で水面下90メートルに達します。作業船が施工できるのは70メートルまでしかありません。前例のない工事で完成すら見通せません。
大浦湾は、世界的にも貴重な生態系を有し、オキナワハマサンゴをはじめ262種類もの絶滅危惧種の生物が生息しています。海上行動チームの鈴木公子さんは「『希望の海』と呼ばれる大浦湾にくいを打ち込み、土砂で埋めれば取り返しがつかない。工事はただちに中止すべきだ」と語りました。(デニー知事のコメント)