2024年8月20日(火)
教育のつどい 分科会から
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」では、18日も大阪市内で18の分科会が開かれました。各教科の分科会では、教員たちが子どもの実情に応じて創意工夫した授業を報告、交流しました。
国語教育
歌詞活用して詩の授業
![]() (写真)国語教育分科会で話し合う参加者ら=18日、大阪市 |
国語教育分科会では、愛知県の高校教員・安田雪絵さん(32)が楽曲の歌詞を活用した詩の授業の実践を紹介しました。不登校やいじめを受けた経験のある生徒や、外国にルーツを持つ生徒が多く在籍する学校で、「生徒主体の活動を支える」授業に取り組んだことを報告しました。
安田さんは、高校時代に詩の授業を受けた記憶がなく、「詩の授業ってどう(実践)すればいいんだろう」と考えたことが授業づくりのきっかけになったと言います。授業づくりで歌詞に着目したのは、「教科書以外のものが教材にならないか」と考えたためです。
「生徒にさせることは、自分でもしないと」との思いから、まず安田さん自身が「ハマっている」アーティストの歌詞を分析して発表。それが「めちゃくちゃ恥ずかしかった」ので、生徒の発表をクラスで共有する際も、必ず本人の許可を取りました。外国籍の生徒の好む洋楽もよいことにしました。
漢字を使わず、ひらがな中心で書かれた歌詞を分析した生徒は「チャイルド」や「デイズ」の言葉に着目し、「子どもの頃のことを歌詞にしているから、ひらがなで書かれていると思うんだよね」と解釈。生徒と目が合った安田さんは「(良い分析だと思い)ハイタッチしました」とはにかみました。
歌詞から比喩などを読み取れるようになった生徒たちは、教科書に載った詩の読み取りにも取り組みました。友人に「こんな授業をしている」と話す生徒も。安田さんは「これからも生徒主体の活動を支えるような授業を増やしていきたい」と述べました。
理科教育
ビニール傘で月を観察
![]() (写真)理科教育分科会で報告する真野さん(右端)=18日、大阪市 |
タブレット端末での動画視聴を実験の代わりにする動きもあるなか、理科教育分科会では、自然を実際に観察することで、科学的にものごとを理解する力を養う実践報告が続きました。
東京都の真野功さんは、透明なビニール傘を利用した小学4年生の月の動きの観察授業を紹介しました。観察結果をカードに記入していくだけの従来の月の動きの授業は、子どもたちにとってハードルが高いと感じてきたといいます。
最初の授業で真野さんが「今から月を見にいこう」と呼びかけると、昼間に月が見えるわけないと驚く子がいたり、「えっ、見たことあるよ」と返す子がでたり。月の存在が身近なものに変わり、長時間眺めるだけの作業がワクワクしたものになったと語ります。
観察は2人一組で行いました。傘の骨の先に貼ったシールと方位磁石で東西南北を合わせ、1人の子どもが傘の中から月の見えた位置を指さし、1人がシールを張って動きを記録。時間を変えて記録を繰り返した後、全員の記録を1本の傘にまとめ東から西に移動する月の運動の規則性を確認しました。
大阪府の三木雅義さんは、コロナの影響でオンライン授業が長く続いた子どもたちだからこそ、実験にこだわっていることを報告しました。小学6年生の燃焼実験で割りばしや新聞を燃やすと子どもたちから「けむりが目に染みる」「くさい」との声が上がり、三木さんがすかさず「オンラインでは体験できないよなぁ」と振ると、子どもたちは「そうやなぁ」と納得。水溶液の授業でアンモニアの臭いを友達から聞いた不登校の子どもが、わざわざ臭いをかぎに来たエピソードも紹介しました。










