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2024年8月20日(火)

きょうの潮流

 79年たっても消えることのない記憶に胸を突かれます。8月、テレビが伝える被爆・終戦番組の数々に見入りました▼沖縄の二つのハンセン病療養所。戦時中、日本軍による組織的な強制収容やひどい扱いで入所者は過酷な状況にさらされます。3割に当たる400人近くが亡くなりました。食料や医療が不足しての餓死や病死でした▼証言した男性の一人は、98歳で放送前に亡くなりました。大切にしていたのは、自身が書き写した憲法13条の条文でした。幸福追求権を掲げたものです▼広島テレビの26歳の女性ディレクターは、被爆した男性を取材。92歳で今年、初めて体験を語ります。これまで黙ってきたのは「生き残っているのが申し訳なかった」から。転機になったのは、当時の担任教師の手帳です。8月6日の建物疎開の作業を覚悟を持って休みにしたこと、同僚に「非国民」と言われたことが書かれていました。建物疎開に行かなかった男性は命拾いしました▼NHKのドラマは、なぜ軍国少年になってしまったのか、あの戦争がおかしいと思わなかったのか、と静かに問います。それぞれの番組からにじみ出るのは、自分の頭で考えて正しいと思ったことを貫くというメッセージです▼制作者たちは、語り部たちの声に耳を傾け自問自答しながら作りました。黒柳徹子さんは放送文化基金賞贈呈式で「志を持っている人はいっぱいいる。いい番組はたくさんあります」と語っています。平和のためのメディアとしてテレビの可能性を求めたい。


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