2024年8月13日(火)
妹よ 会いにきたよ 日航機墜落39年
90歳「今回が最後」
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日本の航空史上最悪の520人が犠牲になった日航ジャンボ機123便の墜落事故から39年となる12日、墜落現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)には、朝から多くの遺族らが訪れ、犠牲者を悼んで“空の安全”を願いました。
山の斜面には、犠牲者の名前を記した墓標が立てられています。額の汗をぬぐいながら山を登った遺族らは、墓標に花や飲み物を供え、静かに手を合わせました。
23年ぶりに追悼登山をした宇都政幸さん(90)=鹿児島県姶良市=は、妹の川上和子さん=当時(39)=ら3人の墓標に手を合わせました。和子さんには好きだったいも焼酎を、夫で日本共産党の島根県大社町議だった川上英治さん=同(41)=のためにビールを墓標にかけました。次女の咲子ちゃん=同(7)=に炭酸ジュースとお菓子を供えました。
政幸さんは「妹たちが北海道旅行の帰りに東京の羽田空港でキャンセル待ちをして乗った飛行機が123便でした。痛恨の極みだ」と悔しさをにじませます。
和子さんの長女は、事故で生存した4人のうちの1人です。「妹たちのカメラは事故現場で奇跡的に見つかり、フィルムを取り出して現像しました。毎年、この時期になると当時の楽しそうな写真を見ています。悲惨な事故をくり返してはいけない」と政幸さんは強調します。
90歳となった政幸さんは「今回が最後の登山」と言います。今日のために足腰を鍛えてきました。「一人は万人のために 万人は一人のために」と英治さんの“座右の銘”が刻まれた墓標に、政幸さんは「最後になるよ。もう来られないよ。ゆっくり休んでくれよ」と語りかけました。(丹田智之、矢野昌弘)