2024年8月7日(水)
広島市の平和記念式典
グテレス国連総長あいさつ
6日の広島市の平和記念式典にアントニオ・グテレス国連事務総長が寄せたあいさつ(中満泉軍縮担当上級代表代読)は次のとおりです。
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79年前の8月6日、1発の原子爆弾によって、この街は破壊されました。あの日の恐怖が二度と繰り返されぬよう、世界は思いを一つに、あらゆる努力をしなくてはなりません。
この式典は、核兵器の惨劇に完全な終止符を打つべく、より一層の覚悟を持つ場なのです。
核兵器、そしてその使用の威嚇は、歴史の教科書上だけの話ではありません。
これらは現実の国際関係において、日常的なレトリックとして再び姿を現しています。
これらは私たちにとって、今まさに、現実世界で起きている脅威なのです。
このことは、紛れもない事実です。
かつて、私たちを軍縮と平和に向け、集団的な努力に導いた広島の教訓が、今や隅に追いやられつつあるのです。
しかし、ここ広島では、核兵器のもたらす真の代償、そして真の愚かさについて、至る所で気づかされます。
私たちは記念碑を前に、被爆者の方々の言葉に耳を傾けます。そうすることで、今後も絶えず、この追悼の式が毎年行われていく意義を確信できるのです。
広島の皆さまは、何十年にもわたって、核兵器が二度と使用されぬよう、たゆまぬ活動を続けてこられました。
私たち国連は、皆さまが献身的に活動を続ける姿に感銘を受け、1945年の惨事から学んだ教訓を、生かし続けなくてはならないと、痛感しています。
核兵器のいかなる使用も、壊滅的な人道的結末をもたらすということ。
核兵器の脅威をなくす唯一の道は、核兵器の完全な廃絶であるということ。
核兵器のいかなる使用も容認できないということ。
「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならない」ということ。
そして今こそ、軍縮が必要だということ。
昨今、世界的な不信と分断は深まる一方です。
核戦争を起こさずに冷戦を終わらせることができたのは、単なる幸運にすぎなかったという事実に、あまりにも多くの人が気づいていません。
私たちは、同じような「運試し」をすることはできません。
しかし無謀にも、一部の人々が再び、核による威嚇を行っています。
世界は声を一つに、この決して容認できない行為を非難しなければなりません。
そして私たちは、軍縮を実現するための、新たな解決策を見つけなければなりません。
来月ニューヨークで開催される「未来サミット」は、各国が、多国間主義、持続可能な開発、そして平和に向けた取り組みを今一度新たにし、実行可能で将来を見据えた「未来のための協定」を採択する重要な機会となります。
紛争防止、軍縮、そして核兵器のない世界の実現は、これらの取り組みの中心に据えられなければなりません。
国連はこれからも絶えず、広島の人々、そして被爆者の皆様とともに歩み続けます。
私たちは1945年8月6日の教訓を、決して忘れません。
ノーモア・ヒロシマ。ノーモア・ナガサキ。