2024年8月6日(火)
「核抑止」より核禁条約批准を
広島 NGO討論会 田村委員長が発言
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広島への原爆投下から79年を前にした5日、同市内で「核兵器廃絶にむけた日本の役割 核の非人道性を想起して」をテーマに、「核兵器廃絶日本NGO連絡会」と「核兵器をなくす日本キャンペーン」共催の討論会が開かれました。被爆者や与野党代表、有識者らが参加し、日本共産党から田村智子委員長が発言しました。
田村氏は、核使用へのリスクが世界に広がるもと、日本には、核廃絶に向け、「『核抑止論』の呪縛を断ち切り、核兵器禁止条約への参加を決断することが求められている」と強調しました。
「原爆の日」を控えた先月28日、日米両政府が閣僚会合で初めて「拡大抑止」=米国の「核抑止力」を日米一体で強化することを議論したのは「極めて重大」だと批判。「そもそも『核抑止』とは、いざとなれば核兵器を使用するという脅しにほかならない。日本が核の先制使用も否定しない米国とともに、核戦争の恐怖を突き付けるなど絶対にあってはならない」と述べ、「唯一の戦争被爆国として、核兵器の非人道性を全力で訴え、『核抑止』からの脱却を世界に迫ることこそ必要だ」と力を込めました。
核兵器禁止条約は、第6、7条にもとづく被爆者や核実験被害者への支援、汚染された地域の環境修復のための取り組みが始まっており、「実効性を発揮している。日本の協力が鋭く問われている」として、来年3月に開かれる予定の同条約の第3回締約国会議にオブザーバー参加し、批准にむかうことを要求しました。
国連の中満泉・軍縮担当上級代表は、一番あってはならないのは核を使用するかもしれないという威嚇だと強調。核兵器を保有国の意思を強制するために利用する国が出てきていると警鐘を鳴らしました。
さらに核兵器禁止条約は、核被害者支援や環境修復についても話し合う枠組みになっており、ジェンダーの視点から見た核軍縮の問題も話し合われる新しいアプローチを含んだ非常に意義のある条約に発展していると評価。「各国は軍縮や外交による安全保障を理解したうえで対処をしてほしい」と述べました。
日本被団協の和田征子事務局次長は「核兵器に守られたことは一度もない。守られようと思ったことは一度もない」として、「核の傘で何を守るのか。国を守るとは米国との約束を守ることか。『核抑止力』を主張する核の傘は破綻している破れ傘だ」と強調。「核が使用されたら日本も世界も地球も人類も存続の危機に陥るということを自分のこととして考えてほしい」と訴えました。「来年の核兵器禁止条約締約国会議に必ずオブザーバー参加するよう願う」と求めました。
各党代表者からも、日本政府に締約国会議へのオブザーバー参加を求める声が多数出されましたが、自民党はオブザーバー参加には一切言及しませんでした。
各党間の議論を受け、田村氏は「『核抑止』でいいのか、議論が始まったことは重要」だと指摘。「いざとなれば核兵器をためらわずに使用する『核抑止』と、『核兵器のない世界』がどうして両立するのか。国会でも議論が必要だ」と述べ、核兵器禁止条約への参加を重ねて求めました。