2024年8月5日(月)
辺野古・大浦湾 本格工事狙うが問題次々
住民「無謀な工事」
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、政府は県の権限を奪う「代執行」で、広大な軟弱地盤が広がる大浦湾側の工事を1月から進め、8月中にも本格工事の着工を狙っていますが、問題や事故が相次いでいます。住民は「無謀な工事でやめるべきだ」と声を上げています。(斎藤和紀)
![]() (写真)大浦湾に停泊する、くい打ち作業をするための作業船=1日、沖縄県名護市 |
1日、穏やかな波でサンゴ礁が見えるほど透き通る大浦湾。午前中にサンゴを採捕・移植する約20隻の船からダイバーが潜る姿が確認されました。海上行動チームの中原貴久子さんは「この時期は水温が高く、サンゴを移植しても生存率が低い。貴重な生態系より工事を最優先にしている」と憤ります。
先行き不透明
現在、軟弱地盤が広がる大浦湾では護岸建設のためのケーソン(コンクリート製の箱)置き場となる海上ヤードの建設、護岸の基礎部分の地盤を固めるくい打ち試験、一部のサンゴ「移植」などが行われています。県は事前協議が整うまでは着工しないよう要請してきましたが、防衛省は拒否して、工事を強行しています。
海上ヤード建設のための石材の投入は1月10日から実施していますが、2日時点で、海上まで砕石を積み上げられてはいません。
沖縄県統一連の瀬長和男事務局長は「海上ヤードを造るのにダンプカー3万台分の石材を投入する予定で、いま8000台ほどが入っている。しかし、作業船は動かず同じ位置で投入している。軟弱地盤に沈み込んで想定以上に積み上がっていないではないか」と語ります。大浦湾の地盤改良工事のための設計変更申請書によると、工事は海上ヤードだけで2年半、全体は最短で12年に及びます。
くい打ち試験は7月1日から開始するも、作業船がサンゴを破損させたことが発覚し、一時中断。同月下旬から台風の影響で延期し、予定していた8月1日の本格工事の着工はできませんでした。大浦湾では地盤改良で7万本超のくいを打ち込まなければならず、軟弱地盤は最深で水面下90メートルに達します。前例のない工事で、完成の見通しもありません。
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平和的に抗議
埋め立て土砂を船で搬出する安和(あわ)桟橋では、6月下旬にダンプにひかれて警備員と抗議市民が死傷した事故を受け、作業が中止されています。
辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前では猛暑の中、座り込みが連日行われています。2日正午ごろには約25人が駆けつけました。京都府の大学院生の男性(25)は「ネットの情報と違い、誰も傷つけず平和的に抗議されていてすごい。基地を沖縄に押し付けるのは腹立たしい」と語りました。辺野古に住む女性(74)は「抗議をやり続ける。闘いを広げ、基地建設をやめさせたい」と力を込めました。
工事の監視活動をする男性は「もともと無謀な工事で今後も遅れるだろう。ただちに中止すべきだ」と強調しました。










