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2024年7月31日(水)

国立大学費値上げ 議題に

統廃合も 文科省検討会で意見

 2004年の国立大学の法人化から20年を契機に文科省が設置した「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」の初会合が30日、開かれ、政府に近い委員から、学費値上げや大学の統廃合を議題にするよう求める声が相次ぎました。同検討会の設置要綱は「国立大の財務環境の悪化への懸念」を挙げ、財務状況の分析等を目的の一つとしています。

 政府の経済財政諮問会議の民間議員を務める柳川範之東京大教授は「国の予算が減っていく中で、それぞれの法人をどう活性化させるか」が重要だと指摘しました。大学ファンド構想の旗振り役となってきた上山隆大総合科学技術・イノベーション会議常勤議員は学費の値上げが世界的な流れだとして、「背景に高等教育の質的変化、教育コストの拡大がある。これを公的資金で全てまかなうことは当然できない」と主張。「教育機会の平等性の担保」に固執しすぎてきたと文科省を批判しました。

 森田朗次世代基盤政策研究所代表理事は、国立大学法人が統廃合や再編をすすめにくい形態になっていると指摘。「人口減の中で、高等教育を適正かつ効率的に提供していく仕組みとしてどうなのか考える必要がある」と述べました。

 他方、国立大の基盤的経費である運営費交付金以外の外部資金などによる財源の多様化が強調されていることについて「外部資金は使途目的が特定されている」「いきなりとれるものではない」(川合眞紀大学共同法人自然科学研究機構長)との意見もありました。

 法人化以降、運営費交付金は1631億円も削られています。安定した研究ポストが縮小し、日本の研究力低下が顕著になるなど「選択と集中」路線の弊害があらわになっています。


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