2024年7月30日(火)
主張
日米2プラス2
自衛隊を米の属軍にするのか
自衛隊を事実上、米軍の指揮の下に置き、米国の属軍にする重大な動きです。28日に東京都内で開かれた日米の外交・軍事担当閣僚による会合(日米2プラス2)での合意です。
■統合軍司令部新設
日米2プラス2では、米軍と自衛隊の指揮統制をめぐり、米側が、在日米軍を再編して「統合軍司令部」を新設することを打ち出しました。
現在、米軍横田基地(東京都)にある在日米軍司令部は、基地の管理などに権限が限られています。これに対し統合軍司令部には、ハワイの米インド太平洋軍司令部が持っている在日米軍の作戦指揮権の一部が与えられます。自衛隊が陸海空の部隊などを一元的に指揮するため、24年度末に立ち上げる「統合作戦司令部」に対応する組織(カウンターパート)になります。
狙いは、平時から戦時までの米軍と自衛隊の戦術や装備、後方支援などの共通性(相互運用性)と、共同訓練や共同作戦など実際の活動での協力をさらに深化・促進させることです。米軍は自衛隊に比べ、情報量でも装備面でも圧倒的に優越しています。“共同”とは言っても、自衛隊が米軍の事実上の指揮下に組み込まれることは避けられません。
2プラス2では、長距離ミサイルなど自衛隊の敵基地攻撃能力について「米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用」が強調されました。国際法違反の先制攻撃も選択肢にする米軍の指揮に従い自衛隊が他国をミサイル攻撃する危険があります。
ミサイルの日米共同生産で合意したことも看過できません。昨年末に決めた地対空ミサイル・パトリオットの米国への輸出に加え、新たに戦闘機に搭載する空対空ミサイルと、パトリオット改良型の日米共同生産を始めます。米国を通じた紛争当事国への輸出につながり、「死の商人国家」の道を突き進むものです。
2プラス2は、対中国軍事戦略の最前線として、自衛隊部隊の追加配備や日米共同演習など「南西諸島における二国間のプレゼンス(存在)を向上させる」ことでも合意しました。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を「加速させる」としていることなどとあわせ、県民に過重な基地負担を一層負わせるものです。
昨年12月の沖縄での少女暴行事件をはじめ全国で米兵の性犯罪が隠蔽(いんぺい)されていた問題で、日本側の抗議も、米側からの謝罪もなかったことは許されません。
■「核の傘」を強化
2プラス2後に「拡大抑止」に関する初の閣僚会合が開かれたことも極めて重大です。
拡大抑止とは、米国が自国の核戦力による「抑止力」=「核の傘」を同盟国にも広げて提供するというものです。核兵器の使用を前提にしています。
会合では、日米で「拡大抑止を強化する最善の方法を探求し続ける」ことを確認しました。米国が広島、長崎に核爆弾を投下した「原爆の日」を前に言語道断です。
2プラス2と拡大抑止協議は、東アジアの軍事的緊張をいよいよ激化させるものです。今必要なのは、憲法9条に基づく外交による平和創出への努力です。