2024年7月29日(月)
主張
コロナ感染第11波
重症化を防ぐため公費負担を
新型コロナの感染者数が急増し第11波とも言われるなかで、高額なコロナ治療薬の処方を断る患者や検査を受けない人がでています。3月末でコロナ治療への公費助成がすべて打ち切られたことが原因です。
感染が広がり、高齢者や基礎疾患のある人が重症化し医療崩壊が起きると懸念されています。コロナは後遺症も深刻です。新たな公費補助の創設が急務です。
現在流行しているオミクロン株の変異株「KP・3」は感染力が強いといわれています。厚労省が26日に発表した全国の定点医療機関から報告された新規感染者数は、15日から1週間で6万7334人となりました。5月上旬から11週連続で増加しています。コロナ感染は例年8月にピークを迎えており、東京都医師会の尾崎治夫会長は16日の記者会見で「このペースだと1カ月後には3~4倍になる」とのべました。
そのうえで、尾崎氏は「抗ウイルス薬が高くて、そんなに高いなら我慢しますとなっている」と現場の状況を語り、コロナ治療薬とワクチンの自己負担軽減を国に要望しました。厚労省の22日の感染症専門医など有識者のヒアリングでも、負担軽減策の必要性が指摘されました。
■高額薬控える患者
新型コロナの治療への公的支援が全廃された結果、窓口3割負担の人の場合、重症化リスクを軽減する治療薬「ラゲブリオ」は1回の治療で約2万6千円、軽症や中等症向けの「パキロビッド」は約2万9千円、「ゾコーバ」は約1万5千円の負担となりました。そのため解熱鎮痛剤だけを求める患者が増え、医者にかからず市販薬で済ます受診控えも広がっています。
PCR検査や抗原検査も有料となりました。厚労省が自治体に要請して10月から実施を予定する65歳以上の高齢者、基礎疾患のある60~64歳を対象としたコロナワクチン接種も最大7千円の負担が課せられます。
猛暑で、体力が低下し免疫力が弱まる人や熱中症にかかる人が増えています。とくに高齢者は深刻で、コロナ感染で重症化する危険性が高まっています。
すでに感染者が全国平均の2倍を超える県がある九州・沖縄地域では「入院調整が大変になっている」という声が医療関係者から出ています。このままでは「医療崩壊」の事態が危惧されます。患者負担軽減とともに、医療機関への支援策の具体化が必要です。
■日本共産党が要請
日本共産党国会議員団は18日、武見敬三厚労相に、今後のコロナ感染症流行に対する経済的支援を求める緊急の要請を行いました。
要請の第1は、高すぎるコロナ治療薬への公費助成です。少なくとも同じ5類感染症のインフルエンザの治療薬と同水準の負担とすることを求めました。
第2は、コロナワクチンの自己負担の減免です。高齢者や基礎疾患のある人を守るためにもワクチン接種は重要な予防手段だと指摘したうえで、▽ワクチンの有効性・安全性について、新たな知見も含めて情報提供を行い国民の疑問にこたえる▽副反応の原因究明と被害者救済に万全を期す―ことも併せて求めました。
国の早急な対応が求められています。