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2024年7月28日(日)

パリ発鼓動

都市で芸術・文化・多様性を表現

 競技場を飛び出し、パリの街を舞台にした開会式は大胆かつ斬新でした。芸術と文化をモチーフに、世界の芸術家、創作者のアイデアと五輪の精神が融合し、挑戦心に満ちた演出でした。

 選手はセーヌ川を船で下り、その間に歴史的な建物などでパフォーマンスが披露される。聖火がともりカナダ人歌手のセリーヌ・ディオンさんがシャンソンの「愛の讃歌(さんか)」を歌い上げる、しっとりとしたフィナーレに心を揺さぶられました。

 今大会は男女の選手数が初めて同数となります。五輪の女性参加に尽力したアリス・ミリアさんら、フランスの歴史上の10人の女性の業績が紹介され、ファッションやアートのパフォーマンスでは多様性が際立ちました。性自認、年齢、体形、障害の有無など異なるダンサーらが開放的な姿をみせ、誰もが生きやすい社会を映し出していました。

 川岸の観衆と約200カ国・地域の選手の一体感があり、戦火に苦しむウクライナやパレスチナには大きな歓声が上がりました。

 国際オリンピック委員会のバッハ会長は「われわれはいま世界を平和の下に結び付ける祭典の一部である。オリンピアンは互いを気遣い、尊敬し、連帯する。世界が戦争や紛争によって分断される中、この連帯のおかげで団結できる」と語りました。

 新たなものを開いた開会式の一方、バッハ会長のスピーチには物足りなさを感じました。スポーツを通じ、平和をつくるのが五輪の精神。世界に平和を呼び掛ける言葉こそ聞きたかった―。そんな思いにかられました。(山崎賢太)


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