2024年7月21日(日)
主張
堀井氏の香典疑惑
裏金との関係含め徹底解明を
「またか」の嘆きでは済まない深刻な事態です。自民党の堀井学衆院議員(比例北海道)が、選挙区内の有権者に秘書らを通じて香典を渡すなど違法な行為を繰り返していた疑いで東京地検特捜部の強制捜査を受け離党しました。(18日)
過去、この手の違法行為で複数の自民党議員が処罰されてきたのに、なおも繰り返す悪質さです。しかも堀井氏は安倍派の政治資金パーティー事件で2196万円の還流のあった裏金議員の一人です。その裏金が香典などの原資になった疑いもあります。徹底的な真相究明が必要です。
■後絶たぬ違法行為
堀井氏は2022年ごろ、自身の選挙区である北海道9区(苫小牧市など)の複数の有権者に「堀井学」と記された香典などを秘書や家族に持参させていた疑いがもたれています。総額は数十万円にのぼる可能性があります。
公職選挙法は、政治家が選挙区内の有権者に金品を渡すことを原則禁止しています。香典は政治家本人が葬儀に参列して直接渡す場合は認められていますが、秘書らが代理で持参するのは違法です。違反すれば50万円以下の罰金、最長5年間の公民権停止です。
堀井氏は、秘書が香典配布の中止を進言したにもかかわらず「慣例としてやってきた。いきなりやめることはできない」と継続を指示したと報じられています。事実なら悪質極まりなく議員辞職に値します。
今回のような違法行為としては、小野寺五典元防衛相が00年に秘書とともに選挙区内で有権者に線香セットを配り、21年には菅原一秀元経済産業相が秘書らを通じて香典や枕花を提供し、それぞれ罰金40万円と公民権停止3年の略式命令を受けました。「しんぶん赤旗」日曜版(22年12月4日号)は井野俊郎元防衛副大臣の秘書や親族が有権者に香典を配った疑惑を明らかにしました。それらに続く今回の堀井氏の疑惑です。自民党政治の金権腐敗の根深さを示しています。
■揺らぐ首相の説明
堀井氏側に対する特捜部の強制捜査は、裏金が香典代に使われた可能性が浮上し、悪質性が高いと判断したことから行われたとされます。岸田文雄首相は裏金の使途で「違法なものは確認されていない」と繰り返してきました。それが根底から揺らぐ事態です。
「堀井議員にはしっかりと説明責任を果たしてもらいたい」(茂木敏充幹事長)などという人ごとの対応では済まされません。
裏金事件は自民党ぐるみの組織的犯罪を白日のもとにさらしましたが同党は全く反省していません。堀井氏の説明責任はもとより、裏金問題の真相解明に背を向けてきた岸田首相と自民党の責任が問われます。
先の通常国会では、安倍派幹部ら9人が政治倫理審査会(政倫審)で弁明しましたが、堀井氏ら73人の裏金議員は、全会一致で政倫審への出席・弁明を求める議決がされているのに、誰一人応じていません。
裏金事件では安倍派会計責任者らの公判で、安倍派幹部の説明との食い違いも明らかになっています。
最低でも直ちに政倫審を開き、裏金問題の真相の徹底究明を行うべきです。