2024年7月14日(日)
主張
原水爆禁止世界大会
世界が共同して非核の展望を
広島と長崎にアメリカが原爆を投下してから79年です。目前に迫った原水爆禁止世界大会(国際会議・広島8月3~4日、広島4~6日、長崎8~9日)は、来年の被爆・戦後80年にむけて世界的な運動をよびかける集会として注目されます。
ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン政権は核演習や核威嚇を行い、米国をはじめNATO(北大西洋条約機構)諸国も「核抑止力」の拡大・強化を唱えるなど、核をめぐる情勢は重大です。ガザ攻撃を行うイスラエルは核保有国です。核軍縮の交渉も困難な状況にあります。
■希望の光禁止条約
しかし今、この危機の打開を求める声が広がっています。アントニオ・グテレス国連事務総長は、核兵器の使用についての「世界の終焉(しゅうえん)を思わせる言葉遣い」に危機感をあらわにし、「今こそ、狂気を止めるときです。私たちには、今こそ軍縮が必要です」と訴えました。(3月5日)
平和への逆流をのりこえ、戦争も核兵器もない世界をどう実現するのか―今年の世界大会にはその展望を示す重要な意義があります。全国の参加者、各国の運動代表とともに、国連幹部や核兵器禁止条約を推進する国の政府代表も参加する議論は、私たちに勇気を与えてくれるでしょう。
「希望の光」となっているのが核兵器禁止条約です。核保有国の妨害にもかかわらず、参加国はいまや70、署名国は93と国連加盟国(193)の半数に迫ります。禁止条約は発効後、世界の反核平和運動を励まし、あらゆる場面で核兵器廃絶の主張を支える柱となってきました。国連では小国といわれる政府の代表も「禁止条約に励まされている」とのべ、核大国を堂々と批判しています。こうした状況が核兵器を使用させない力となっています。
世界大会は禁止条約の力を改めて実感する場となるに違いありません。条約が定める被爆者や核実験被害者への支援と環境修復についても、大会で議論が深められることでしょう。
■抑止論の克服急務
「核抑止」論の克服も急務です。来年3月に予定される禁止条約第3回締約国会議では、これが焦点の一つとなります。核使用を前提とした「核抑止」の非人道性を明らかにするうえで被爆者の訴えが不可欠です。世界大会は、「核抑止」論をのりこえる国際的な世論を発展させるうえでも重要な貢献となるはずです。
禁止条約が世界の多数派となる一方で、唯一の戦争被爆国である日本がこれに背をむけている姿は異常です。条約への参加を求める意見書を採択した自治体は全体の約4割に達するなど、政治的立場の違いを超えて広がっています。政府は一刻も早く条約参加を決断すべきです。
ヒロシマ・ナガサキと憲法9条は深く結びついています。大会は戦争国家づくりをすすめる岸田政権、自民党政治を終わらせ、禁止条約に参加する政府、憲法を守り生かす政治をめざす運動の節目でもあります。
平均年齢85歳を上回った被爆者たちは今、高い決意で立ちあがっています。被爆者とともに世界大会を成功させるために力を尽くすことを訴えます。