2024年7月13日(土)
防衛省 218人処分
組織ぐるみの違反・不正判明
海自トップ辞任へ
防衛省は12日、「特定秘密」の漏えいや海上自衛隊の潜水士による手当の不正受給などの違反・不正を巡り、事務次官や自衛隊制服組トップを含む関係者計218人(のべ220人)の処分を公表しました。200人以上が一斉処分される異例の重大事態であり、軍拡が進む一方、組織ぐるみで堕落・腐敗している自衛隊の実態が相次いで示されました。
海自トップの酒井良海上幕僚長は減給処分とされました。酒井氏は19日付で辞任し退職します。
潜水手当を巡っては、潜水艦救難艦の隊員62人が任務や訓練の際に支給される手当を架空請求。このうち11人が免職、48人が停職、3人が減給となり、不正受給を見抜けず指揮監督不十分として幹部3人が減給と計65人が懲戒処分されました。また計9人が訓戒・注意処分となりました。不正受給された手当は2017年~22年に計約4300万円に上るとされています。
また、厚木航空基地隊など計3カ所に所属する、幹部を含む計22人の海自隊員が基地内の食堂で食事の無料支給対象者でないにもかかわらず代金を支払わず、計160万円相当の飲食を行い、降任や停職、戒告の懲戒処分を受けました。
さらに、防衛官僚の幹部によるパワーハラスメントも初めて認定されました。防衛政策の企画・立案にあたる本省の内部部局の課長級以上の3人が部下に威圧的な言動を行うなどパワハラで停職や減給の懲戒処分を受けました。
また、防衛省は、川崎重工業が海自との潜水艦修理契約に関して、取引先企業との架空取引でつくった年間2億円、合計十数億円とみられる裏金で海自隊員らに接待や金品の提供をしていた疑惑について「特別防衛監察」を早急に進めるとしており、処分者はさらに増える見通しです。
特定秘密の不適切管理については漏えいが43件、手続き上の瑕疵(かし)が15件あったとしています。酒井海幕長の減給の他、事務次官や統合、陸上、航空の各幕僚長、情報本部長を訓戒とし指揮監督義務違反等で処分。他に停職15人、減給5人、戒告6人と計26人が懲戒処分で訓戒等が計89人となりました。
特定秘密を巡っては無資格の隊員が特定秘密を扱う戦闘指揮所に勤務するなど海自艦艇38隻での不適切管理が確認され、陸自、空自、統合幕僚監部でも発生しています。