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2024年7月8日(月)

主張

在日米軍機の強化

「軍事対軍事」の緊張高めるな

 米国防総省が、日本に配備している米軍戦闘機の近代化計画を明らかにしました。今後数年間をかけて、100億ドル(約1兆6千億円)超を投じ、在日米軍の航空基地に最新鋭の戦闘機を配備するなどします。中国や北朝鮮などを念頭に「日米同盟と地域の抑止力を強化する」ためだとしています。しかし、これは、北東アジア地域の緊張をいっそう高め、「軍事対軍事」の危険な悪循環をさらに加速させるものです。

 米国防総省が3日に発表した在日米軍の戦闘機近代化計画は、▽青森県の米空軍三沢基地(三沢市)▽沖縄県の米空軍嘉手納基地(嘉手納町、北谷町、沖縄市)▽山口県の米海兵隊岩国基地(岩国市)―の3基地が対象です。

■核搭載可能な機も

 三沢基地では、現在配備している36機のF16戦闘機を、48機のF35A戦闘機に切り替えます。米空軍のF35Aは三沢初配備で、F16にはない、レーダーに捕捉されにくいステルス性能を持ち、「兵器搭載量や戦闘能力が大幅に向上」するとしています。F16同様、核爆弾も搭載できます。

 米国の核問題専門家のハンス・クリステンセン氏らの論文によると、米国は、戦闘機搭載用の核爆弾を約200発保有しており、うち100発を欧州に配備し、残りは米本土に貯蔵しています。米本土にある100発は「北東アジアを含むヨーロッパ以外の同盟国を支援する米戦闘機による潜在的な使用に備えている」としています。

 この核爆弾は今後数年をかけ、最大で50キロトンの威力(広島に投下された原爆の約3倍)を持つ最新型に更新されます。(以上、米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』電子版「米国の核兵器2024」)

 F35Aはこの最新型を搭載でき、F16が撤退しても核持ち込みの危険はなくなりません。

 嘉手納基地では、退役する旧型のF15戦闘機48機に代わり、能力を向上させたF15EX戦闘機36機を配備します。

 すでに旧型機の撤退が段階的に始まっており、その穴埋めとして、米本土の基地などから最新鋭のステルス戦闘機F22Aなどが交代で配備され、基地周辺の騒音被害が激化しています。沖縄の地元紙は、F15EXも騒音レベルが増大する危険を指摘しています。(琉球新報3日付)

 岩国基地では、米海兵隊のF35B戦闘機(短距離離陸・垂直着陸型)の配備機数を「修正」するとしています。南西地域の離島などに部隊を分散展開し、周辺海域の中国軍の艦船などを攻撃する米海兵隊の「遠征前進基地作戦」を支援するのに最適な態勢にするのが狙いです。

■際限ない軍拡競争

 今回の計画について、米国防総省は「日本政府と緊密に連携」したと強調しています。林芳正官房長官は4日の記者会見で「日米同盟の抑止力・対処力はさらに強化される」と手放しで評価しました。

 しかし、「抑止力の強化」を理由に軍事力を強化すれば、相手も対抗策に乗り出し、際限のない軍拡競争を招くことになります。そうした危険な計画は中止させるべきです。


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