2024年7月4日(木)
マクロ経済スライド継続
最大57年度まで 公的年金の財政検証
厚労省
厚生労働省は2024年の公的年金の財政検証結果を、3日に開催された社会保障審議会年金部会(部会長・菊池馨実早稲田大学教授)に提示しました。23年度末の積立金残高は、前回(19年)の財政検証での予想(約221兆円)を約70兆円上回る見込みである一方、物価高騰や社会保障負担増など高齢者の生活が冷え込むなかで、年金の給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」による受給額の調整が行われます。
財政検証はおおむね100年間の公的年金の財政見通しで、法律に基づき5年に1度、前回以降の実績をもとに見直されています。現役世代の手取り収入に対する給付水準(所得代替率)は、24年度61・2%となっています。「マクロ経済スライド」による年金受給額の調整は、年金財政の収支が均衡するまで行う方針で、最も現状に近い経済条件を想定した「過去30年投影ケース」で57年度まで続く見通し。所得代替率は50・4%に落ち込み、“就職氷河期世代”を中心に老後の貧困化が社会問題となりそうです。
年金額の将来見通しでは、「過去30年投影ケース」の場合、女性の平均年金額が労働参加の進展に伴う厚生年金の加入期間の延長により上昇する一方、男性はマクロ経済スライドの調整などにより24年度の水準を下回る見込みです。
自公政権は04年の年金制度改定で「100年安心」の名目で、物価が上がっても年金を上げない「マクロ経済スライド」を導入。これまで15、19、20、23、24年度の5回、実際に発動しています。日本共産党は、マクロ経済スライドなどの年金削減システムをやめ、物価上昇に応じて「増える年金」への改革を提案しています。