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2024年7月4日(木)

強制不妊 原告全面勝訴 最高裁大法廷

旧優生保護法は違憲

損害賠償、除斥適用せず

 旧優生保護法(1948~96年)による不妊手術を強制された被害者が国を相手取り損害賠償を求めていた裁判の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、旧法と手術は憲法13条(個人の尊重)と14条(法の下の平等)に違反するとして原告全面勝訴の判決をだしました。札幌、東京、大阪各高裁の原告勝訴判決4件で国の上告を棄却し、原告敗訴の仙台高裁判決を破棄、差し戻しました。(関連記事)


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(写真)勝訴に喜ぶ原告・弁護団の人たち=3日、東京都千代田区

 下級審で判断が分かれていた、手術から20年を過ぎると被害者の賠償請求権が消滅する除斥期間の適用について、「到底容認することはできない」と断じました。適用して「国の損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反する」と判断。当事者の主張がなくても除斥期間を適用する最高裁判例を変更しました。

 また、「国会議員の(旧優生保護法の)立法行為は国家賠償法1条1項の適用上、違法」と判断。96年の法改定時に「速やかに補償の措置を講ずることが強く期待される状況にあった」のに国が補償せず、一時金支給法をつくったものの320万円では少ないとしました。

 戸倉裁判長が判決を読み終わると、約140の傍聴席から拍手がわきあがり、聴覚に障害のある人たちも手をあげてひらひらさせる手話で喜びました。原告と弁護団も笑顔で握手しました。

 判決後の集会で、新里宏二弁護士は「考えうる最高の判決」と評価。一方で原告、弁護士からは早期に国の謝罪を求める発言が相次ぎました。

 関哉直人弁護士は「判決は一時金支給法は損害賠償責任を前提としない法律だとした。一時金を請求した人も新たな賠償を受けられるとして、被害者全体に賠償を認めるものだ」と評価しました。

 一人で被害を長年訴え続け、仙台高裁で除斥期間を機械的に適用され請求が認められなかった原告、飯塚淳子さん(70歳代、仮名)は「長い間苦しんできました。今日は最高の日となりました」と支援者に感謝の言葉をのべました。


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