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2024年6月29日(土)

主張

また女性暴行事件

沖縄から米軍基地を撤去せよ

 報道されるまで県も住民も半年近く知らされなかった。そうだとすれば、明るみに出ない米兵の女性暴行事件はもっとあるのではないか―。昨年12月に沖縄で起きた米空軍兵による少女誘拐暴行事件の発覚を受け、識者らが「氷山の一角」と語っていた懸念が杞憂(きゆう)でなかったことが裏付けられました。沖縄でまた新たに米兵による女性暴行事件が明らかになりました。強い怒りを禁じ得ません。米兵が暴行を繰り返すのを国が隠蔽(いんぺい)し、事実上かばうようでは、県民が安心して暮らすことはできません。

■隠蔽に隠蔽重ねる

 今回新たに分かった事件は、沖縄に駐留する米海兵隊所属の上等兵の男が5月26日に県内で女性に性的暴行をしようとし、けがを負わせたというものです。不同意性交等致傷の容疑で沖縄県警が逮捕し、那覇地検が6月17日に起訴しました。28日に判明しました。

 昨年12月の少女誘拐暴行事件がメディアの報道で判明してからわずか3日後です。今回の事件も報道で発覚しており、日米両政府が隠蔽に隠蔽を重ねていた疑いは濃厚です。

 事件の隠蔽疑惑をめぐっては、岸田文雄政権の政治的な思惑が広く指摘されています。

 先立って明らかになった米空軍兵長による少女誘拐暴行事件は昨年12月24日に発生しました。事件直後の28日、岸田政権は名護市辺野古の米軍新基地建設のため、県の権限を奪い、埋め立て工事に許可を出す「代執行」を強行し、県民の怒りが広がりました。

 外務省沖縄事務所は日本共産党沖縄県委員会と同県議団の申し入れ(6月27日)に対し、事件を発生直後に把握していたと認めています。しかし県には通報しませんでした。事件が当時明るみに出ていれば県民の怒りがさらに大きくなったことは間違いありません。

 那覇地検は3月27日に起訴します。同日、外務省事務次官がエマニュエル駐日米大使に遺憾の意などを伝えたとしていますが、これも公表されませんでした。その直後、岸田首相は国賓待遇で訪米し、4月10日の日米首脳会談で米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化や辺野古新基地の推進などで合意します。しかし在日米軍の事件・事故が議題になった形跡はありません。

 5月17日にはエマニュエル大使が米軍の軍事利用を狙いに与那国・石垣両島を訪れますが、ここでも事件には触れませんでした。

 そして5月26日に新たな米兵による女性暴行致傷事件が発生します。その後、6月16日の沖縄県議選、23日には沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」があったものの、いずれの事件も伏せられたままでした。

■県民の怒りさらに

 玉城デニー県知事は、昨年12月の事件が通報されなかったことに「著しく不信を招く」と批判していました。今回の新たな事件発覚を受け、岸田政権への県民の不信、怒りが一層強まるのは必至です。

 報道によれば、沖縄で今年1月から5月末までに致傷を含む不同意性交容疑で米兵が摘発された事件は3件に上るとされます。米兵の性犯罪をなくし県民の人権と尊厳を守り抜くためには、沖縄から米軍基地を撤去するしかありません。


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