2024年6月27日(木)
小池都政の実態(上)
「都民守る」公約したが…
大激戦の東京都知事選(7月7日投開票)で、現職の小池百合子氏(71)が3期目を目指す政策で掲げる2期8年の「実績」の実態を見ました。(東京都・川井亮)
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小池氏は政策で「2期目公約の実現」として、(1)「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」(2)「『人』が輝く東京」(3)「『都民ファースト』視点での行財政改革・構造改革」を挙げました。
コロナ禍で病院独法化
「都民の命を守る」公約の中で「新型コロナ対策」を実績に挙げていますが、小池都政が行ったのは、新型コロナウイルス対策の先頭に立っていた都立・公社病院を独立行政法人化(2022年7月)したことでした。
都立・公社病院は平時から感染症病床を確保してきました。コロナ禍には最大2210床のコロナ病床を確保し、障害者や透析患者ら入院先の確保が難しい患者を積極的に受け入れました。厚生労働省の調べでは、全国のコロナ病床数の上位1~11位を都立・公社病院が占めました。
独法化は「経営効率」優先で、都の財政支出の削減が目的です。都は独法化で「人材を柔軟に確保できる」としてきましたが、実際には独法化後1年半余で職員不足などにより19病棟の計629病床が休止しています。
コロナ禍では、公衆衛生の拠点の保健所に「電話がつながらない」という事態も相次ぎました。区部では各区に保健所があるのに対し、多摩地域では7カ所しかなく、府中市など6市を所管する保健所は100万人もの人口を抱えています。
都は「保健所のあり方を検討する」としていましたが、1月にまとめた対応策では「市町村等関係機関との連携強化」やデジタル化を進めるとした一方、住民が求める保健所の増設は盛り込みませんでした。
小池氏のコロナ対策は、自慢できるものではありません。
行財政改革資料白塗り
小池氏は「『都民ファースト』の視点での行財政改革」を実績として挙げています。
しかし、知事就任当初掲げていた「情報公開は(都政の)信頼回復への一丁目一番地」(16年12月議会での所信表明)はどうなったでしょうか。
小池氏は16年12月議会では「黒塗り資料の積極的な公開も進めてきた」と述べましたが、晴海五輪選手村用地の投げ売り、神宮外苑再開発、築地市場豊洲移転、カジノ誘致検討などの公文書を日本共産党都議団やジャーナリスト、市民団体が開示請求したのに対し、都は黒塗り文書を連発しました。
ジャーナリストらがこれを批判すると、今度は文書の非開示部分を枠で囲んで白く塗りつぶす「白塗り」にしました。「黒塗り」を「白塗り」にしたのが実績だと言うのでしょうか。
ごまかした市場の移転
小池氏は16年の知事選で「築地市場豊洲移転は立ち止まる」公約を掲げ、17年6月の都議選直前の会見では「築地は守る」「(築地は)市場としての機能が確保できるための方策を見出(みいだ)す」「(仲卸業者が)築地へ復帰する際のお手伝いはする」と述べていました。
しかし、都議選が終わると一転して豊洲移転推進を打ち出し、8月の記者会見で移転決断の理由を問われると「それはAI(人工知能)だからです」と意味不明の発言でごまかし、移転を強行したのです。
その後、築地市場跡地は三井不動産などを事業予定者に選定。事業者は収容人数5万人の大規模集客施設や大規模会議場、高層マンションなどを建設する計画を打ち出しました。「築地は守る」公約は影も形もありません。
24日の討論会では、かつて「築地は守る」と述べていたことについて問われ、小池氏は「築地の定義がよく分かりません」としどろもどろでした。(つづく)