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2024年6月27日(木)

政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(3)

自民党経済政策の破綻

法人税引き下げは失敗

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(写真)「大幅賃上げ」「最低賃金全国一律実現」などをアピールする中央総決起行動参加者=3月7日、東京都千代田区

 「(新たな経済成長への)移行の兆しは明確になっている」―。岸田文雄首相は通常国会が事実上閉会した21日の記者会見でこう強調しました。

 しかし、4月の実質賃金は前年同月比25カ月連続マイナスとなり、過去最長を更新。物価高騰に賃金や年金が追い付かず、個人消費もリーマン・ショック以来の4半期連続マイナスです。

「選挙目当て」だ

 岸田首相が物価高対策の目玉に掲げた、1人あたり4万円の所得税・住民税の定額減税も、6月の世論調査で「評価しない」が7割(「毎日」)に上ります。給付は1回きりなうえ、複雑で不公平な制度となり、「選挙目当て」の政策だと見透かされています。

 岸田首相が「減税」の恩恵を示そうと、従業員などの減税額を給与明細に記載するよう求めたことも、自治体や企業の大きな事務負担となりました。批判が広がるなか、この問題をただした日本共産党の小池晃書記局長に、政府は減税額の記載がなくても罰則はないと答弁。自営業やフリーランスの配偶者と親族が減税対象から外された問題では、田村貴昭衆院議員や小池氏の質問、全商連などの運動で、政府から調整給付を行うとの答弁を引き出しました。

 一方、論戦を通じ長期の経済停滞「失われた30年」をもたらした自民党の経済政策の破綻ぶりも浮き彫りに。

 田村智子委員長は、財界の求めに応えた法人税率引き下げ政策について、2024年度の与党「税制改正大綱」が、「賃金や国内投資は低迷」し、「累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と認めていると追及(3月5日、参院予算委員会)。岸田首相は「企業収益が投資や賃上げに振り向けられてこなかった」と失敗を認めました。

 また、「物価に負けない賃上げ」を掲げながら、大もうけの大企業には減税、6割が赤字の中小企業には効果が薄い「賃上げ減税」に固執。田村氏は、大企業の内部留保の一部に課税して中小企業に賃上げの直接助成をするよう迫りました。

負担を押し付け

 岸田首相が「前例のない規模で抜本的な強化を図る」として成立させた、子ども・子育て支援法も「看板倒れ」です。財源は社会保障費の歳出改革や医療保険料に上乗せする「支援金」などでまかない、高齢者の医療費窓口負担増や介護保険の利用料負担増など、新たな国民負担を押し付けます。

 宮本徹衆院議員の事務所は、会社員などが加入する被用者保険と比べ、非正規雇用労働者やフリーランスなどが加入する国民健康保険料では、同じ年収でも「支援金」の負担額が2倍以上になると試算。高橋千鶴子議員の「(支援金の財源を)なぜ社会保障改革でのみやりくりするのか」との質問には、内閣官房内閣審議官から「(社会保障関係以外の歳出改革は)防衛力強化のための財源として整理されている」との答弁が飛び出しました(3月13日、衆院特別委)。「大軍拡」と子育て支援が両立しないことが明確になりました。

 しかも岸田政権の子育て支援策には、高等教育の無償化などはありません。こうしたなか、東京大学が授業料の約10万円の値上げを検討するなど学費値上げの動きが強まっています。吉良よし子議員は東大の学生自治会アンケートで9割の学生が値上げに反対しているとして、運営費交付金や私学助成を増やし、全ての大学の学費の値下げを迫りました。(6月4日、参院文教科学委)

 岸田首相が、最も人手不足が深刻な訪問介護の基本報酬を引き下げたことで、訪問介護事業所の倒産が過去最多を更新する事態も生まれています。小池書記局長や倉林明子参院議員は、報酬引き下げの撤回を要求。介護報酬を引き上げても保険料に跳ね返らないよう、国庫負担引き上げなど介護保険制度の抜本改革を求めました。

 自民党に多額の献金をする大企業には減税や補助金をばらまきながら、国民には負担増、社会保障切り捨てを押し付ける―。破綻した自民党政治の転換が必要です。田村委員長は21日の議員団総会で「日本共産党の経済再生プラン」に基づく対案を示し、国民的運動を広げようと呼びかけました。(つづく)


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