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2024年6月24日(月)

政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(1)

裏金 核心に迫る

 通常国会が23日に閉会しました。自民党の裏金事件で国民の政治不信が頂点に達しても、岸田政権は真相究明に背を向け、「抜け穴」温存の大改悪法を強行。さらに「経済無策」を続ける一方で、「戦争国家」づくりの数々の悪法を押し通しました。どの問題でも“自民党政治はもうダメだ”という行き詰まりが示される中、国民の怒りと運動を広げ、岸田政権を窮地に追い詰める抜群の役割を果たした日本共産党の論戦を振り返ります。


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(写真)パネルを示して質問する田村智子委員長=3月5日、参院予算委

 「赤旗」日曜版のスクープをきっかけに政権を揺るがす大問題となった自民党の組織的な裏金づくりが、今国会最大の焦点になりました。前代未聞の裏金事件を起こしながら、真相を隠蔽(いんぺい)し、金権腐敗政治を温存しようとする岸田文雄首相に対し、一貫して徹底的な真相究明に奮闘し、真の政治改革とは何かを太く明らかにしたのが日本共産党です。

組織的犯罪行為

 自民党議員の2割を超える82人が組織的に関与した裏金事件。裏金がどうして始まり、何に使われたのか、根本を明らかにするための追及が繰り返されました。

 「自民党による組織的犯罪行為という認識はあるか」―。日本共産党の田村智子委員長は3月5日の参院予算委員会で、裏金事件の違法性をどう認識しているのかという問題の核心をただしました。

 田村氏は、自民党がまとめた裏金事件の「聞き取り調査」などから浮かび上がった(1)派閥による犯罪行為の指導(2)所得隠しの悪質な所得税法違反の可能性(3)裏金が選挙買収に使われた疑惑―の3点を追及。紛れもない組織的犯罪であることを明確に示して迫るも、岸田首相は「組織的犯罪という定義は承知していない」と、ごまかしの答弁に終始しました。

政倫審を開くも

 今国会では日本共産党などの求めに応じ、真相解明のための政治倫理審査会(政倫審)が開かれました。岸田首相をはじめ自民党の派閥幹部などが出席し弁明したものの、真相は何一つ語らずじまい。残りも、衆院で44人、参院で29人の出席と説明が求められていますが、いまだに誰一人応じていません。

企業献金禁止が国民的世論に

賄賂性を追及しリード

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(写真)「裏金自民党政治を変えよう」と声をあげる人たち=5日、衆院第2議員会館前

 清和政策研究会(安倍派)を巡っては、裏金づくりの違法性の認識を派閥幹部で共有していた可能性が浮上しました。日本共産党の塩川鉄也議員は3月1日の衆院政倫審で、安倍派がいったん裏金づくりをやめると決めながら復活させた経緯を追及。幹部会合で「還流分を“合法的”に出す案」が示されたことを指摘し、「違法性の認識があったからではないか」と厳しく批判しました。その後、幹部の発言内容に食い違いが生じるなど疑惑がますます深まる事態に…。

 誰が裏金づくりを始めたのか。山下芳生議員は同14日の参院政倫審で、安倍派幹部らの証言から、裏金づくりが始まった時期は1997~2000年の間だと推察されると指摘。「この間の清和会の会長はだいたい森喜朗元総理だ」と追及しました。キーパーソンである森元首相の参考人招致、証人喚問を求める世論が一気に高まりました。

 ところが、その後、岸田首相が森元首相に行ったという「電話での聞き取り」は、第三者の立ち合いもない形だけのものだったことが明らかになっています。さらにこの間、安倍派の会計責任者の公判での証言で、政倫審で弁明した幹部らの発言が偽りだった疑いも浮上。このまま幕引きを許すわけにはいきません。

肝心要が欠落の自民案

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(写真)質問する塩川鉄也議員=3日、衆院政治改革特委

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(写真)山下芳生議員(右端)の質問に答える井上哲士議員(中央)=17日、参院政治改革特委

 「政治資金パーティー券の購入者の公開基準の引き下げや、政策活動費改革を含む、政治資金規正法改正を実現することができた」―。岸田首相は事実上国会閉会となった6月21日の会見で、「政治改革」の「成果」を強調しました。

 今回の裏金の原資は政治資金パーティー収入という「抜け穴」を利用した企業・団体献金です。パーティー券購入も含めた企業・団体献金の全面禁止こそ、最大の再発防止策になります。

 日本共産党は参院に「企業・団体献金全面禁止法案」と「政党助成法廃止法案」を提出し、金権腐敗の根を大本から断つ抜本的な提案を示して論戦に臨みました。

 企業・団体献金は本質的に賄賂性を持ちます。見返りを求める企業・団体からの巨額の献金が自民党に流れ込み、政治がゆがめられてきたことこそ、今回の裏金問題の本質です。

 山添拓議員は10日の参院決算委員会で、自民党が日本建設業界連合会(日建連)に額まで示して献金を依頼している「献金あっせん」の実態を告発。日建連加盟企業から自民党への献金が10年間で20億円を超える中、政府が日建連の要望通りの予算編成の仕組みを実現していることを示し、「自民党が政策に値札を付けて売ってきた」と厳しく批判しました。

 一方で自民党が提出した規正法改定案(自民案)は、肝心要の企業・団体献金禁止がすっぽりと抜け落ちています。それどころか、政治資金の流れをさらに不透明化する改悪の内容も審議を通じて明らかになりました。

真の改革 共産党2法案

 自民党が幹事長などの役職者に対して支給してきた巨額の「政策活動費」。使途の詳細は全く明かされず、規正法の趣旨に反する脱法的な闇金です。塩川氏は3日の衆院政治改革特別委員会で、自民案が、規正法上規定のない政策活動費を初めて法定化=合法化するものだと明らかにしました。

 自民案は官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書の「要旨」の作成・公表義務を削除しています。山下氏は17日の参院政治改革特委で、「規正法の目的である政治活動に対する『国民の不断の監視』を後退させるものだ」と批判。専門家からも「要旨の作成を廃止すれば、過去3年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴う」(上脇博之神戸学院大学教授)との指摘があがっていることを突き付けました。

 参院では日本共産党が「企業・団体献金全面禁止法案」など2法案を提出したため、党議員が法案提出者として質問に答える場面もありました。井上哲士議員は10日の参院政治改革特委で、「大企業や業界は選挙権は持たないが、個人の力を超える巨大な財力を持っている。その力で政治を左右することは国民の基本的人権である参政権を侵害する」と指摘し、共産党は「政治改革の核心として企業・団体献金をパーティー券購入も含め全面禁止することを提案している」と説明。17日の同委でも答弁に立ちました。

 真の政治改革を求め、法案を30年間国会に提出し続けてきた日本共産党の論戦を力に、いま、企業・団体献金禁止を求める声が国民的世論となっています。カネの力でゆがめられる政治をこのまま続けさせるわけにはいきません。(つづく)


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