2024年6月14日(金)
新生存権裁判 勝訴
生活保護費引き下げは違法
東京地裁
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国が2013~15年にかけて段階的に生活保護費を引き下げたのは違憲・違法だとして、東京都内の生活保護利用者48人が国などを相手に、引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁でありました。篠田賢治裁判長は、保護費の引き下げを違法だと判断し、処分を取り消しました。
国は、生活保護費の引き下げを巡り、08~11年にかけての物価下落を理由として「デフレ調整」などを行いました。保護費の中で、食費などに充てる生活扶助費を最大で10%も削減。総額は670億円にも上りました。
「デフレ調整」では、厚生労働省が独自の物価指数を採用し、物価が4・78%も下落したとしました。テレビやパソコンなどの電化製品の値下がりが大きかった時期を設定し、下落率を大きくしました。
判決は、「テレビ等5品目」が過大に評価された結果、「本件下落率の大半の部分が過大に算定された疑義がある」と指摘。「許容し得る誤差の範囲を超えたと言わざるを得ない」と述べました。その上で、保護費を引き下げた厚労相の判断は「裁量権の逸脱や乱用があると言わざるを得ない」として違法と判断しました。
篠田裁判長は判決言い渡し後に、訴訟を通じて感じた意見を表明。未来に向かって「上向きの方向に社会が進まなければいけない」と述べました。
原告代理人の宇都宮健児弁護士は、今後の同種訴訟に影響を与える可能性があると、今回の判決の意義を指摘しました。