2024年6月5日(水)
在日米軍司令官 格上げ
米国防長官 権限強化で自衛隊統合狙う
中距離ミサイル日本配備 否定せず
オースティン米国防長官は3日、訪問先のシンガポールで記者団に対し、4月10日の日米首脳会談で合意した日米指揮統制の枠組み強化をめぐり、日本に大将級の司令官を配置する案を検討していると言明しました。
オースティン氏は、自衛隊の実動部隊を一元的に指揮する統合作戦司令部(2025年3月に創設)を「支援する」とした上で、「将来的な四つ星(大将)司令官(の配置)を慎重に考慮している」と述べました。その上で「今日発表できるものは何もない」とも強調しました。
現在の在日米軍司令官は中将で、その権限は基地の管理などに限られており、部隊の指揮統制や作戦計画・共同訓練などの立案はハワイのインド太平洋軍司令部が担っています。オースティン氏の発言は、在日米軍司令官を、インド太平洋軍司令官と同格の大将級に格上げし、同様の権限を付与する案を想定したものとみられます。
その狙いは、統合作戦司令部の創設と一体に在日米軍司令部の機能を強化し、事実上の「日米統合司令部」を形成することにあります。米軍との「シームレス(切れ目のない)な統合」が加速し、自衛隊は在日米軍の直接の指揮下に置かれることになります。加えて、在日米軍司令部が置かれる横田基地(東京都福生市など)では、司令部要員の大幅な増員が避けられません。
日米両政府は指揮統制の強化をめぐり、7月に東京で開催する日米安全保障協議委員会(2プラス2)で協議する予定です。これに先だち、25年度米国防権限法は米国防総省に対し、在日米軍司令部の改編などをめぐり、6月1日までに報告書を米議会に提出するよう求めています。
また、オースティン氏は中距離ミサイルを日本に一時配備する可能性について「われわれは日常的にさまざまな装備を訓練の一環として配備している。訓練の強化のため日本と協力していく」と述べ、否定しませんでした。米陸軍は4月、米比共同演習で移動式の中距離ミサイルシステムをフィリピン北部ルソン島に一時配備しました。同システムは中国のミサイル網を念頭に置いており、ミサイル軍拡競争が加速する危険があります。








