2024年6月2日(日)
朝鮮半島の非核化は平和体制構築と一体で
日中韓サミット
日中韓サミットが5月27日に韓国のソウルで岸田文雄首相、李強首相、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の出席のもと開催されました。2019年12月以来、約4年半ぶりです。共同宣言が発表されました。
再開は重要な一歩
1999年に当時の小渕恵三首相の提案で始まった日中韓協力は、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携、北東アジアでの経済協力・平和対話の促進によって、東アジア共同体につなげることを大目標に掲げてきました。
独自にサミットを始めた08年には、年1回の持ち回り開催(今回は韓国が議長国)で合意しました。しかしこれ以降も、二国間関係の悪化でたびたび定期開催ができなくなってきました。
今回も、新型コロナの影響だけでなく、東京電力福島第1原発汚染水放出を受けた日中関係悪化や、米韓接近を巡る中韓間のあつれきなどを一定乗り越えて、開催にこぎつけました。
4年半の間に、米中対立とロシアのウクライナ侵略が続く中で米国は同盟網を拡大・強化し、北朝鮮はロシアに接近しつつ核・ミサイル開発をいっそう進展させるなど、北東アジアの情勢は大きく変化してきました。
地域規模の対話の枠組みのない北東アジアで、緊張が増す中でも長年機能してきた数少ない首脳級の対話と協力の枠組みの再開は、地域の安定と緊張の緩和につながる重要な一歩です。
半島の非核化巡り
共同宣言に盛り込まれた項目は経済協力や人的交流まで多岐におよびます。ただ、交渉で最も難航したとされる北朝鮮の核問題では、3カ国間で立場の相違が浮き彫りになりました。
共同宣言は「地域の平和と安定、朝鮮半島の非核化」について「それぞれ立場を強調した」と述べ、合意が得られなかったことを認めています。
前回19年の成果文書には「対話・外交を含む国際協力並びに関係国の諸懸念の包括的解決によってのみ、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和を達成できることを強調する」とありました。
欠落したのは、関係国の懸念の解決を通して非核化と平和体制構築をともに実現させるという到達点です。これは明らかな後退です。
日本共産党は4月に発表した「東アジアの平和構築への提言」で、朝鮮半島の非核化と、北東アジア地域の平和体制の構築を一体的、段階的に進めることが北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決する「唯一の現実的な方法だ」と述べています。
サミットが目指してきた北東アジアの平和協力を進めるためには、19年の成果文書で3カ国が合意しているように、半島の非核化と恒久平和の構築を一体ですすめるという到達点に立ち戻ることが強く求められます。
(日本共産党国際委員会 池田晋)