2024年6月1日(土)
国立大学費値上げ 国に提言
自民 私大の淘汰強化へ
自民党の政務調査会と教育・人材力強化調査会(柴山昌彦会長)が、盛山正仁文部科学相に、国立大学について「適正な授業料の設定」を実施すべきとし、実質的に値上げを求める提言を出しました。提言は27日に提出され、盛山文科相は28日の会見で「政府の骨太の方針に盛り込む」と発言しました。
提言は「実施すべき取組」として国立大学をめぐっては、「質の高度化や社会経済情勢に伴う教育コストの増加等も踏まえ、適正な授業料の設定」としています。伊藤公平慶応義塾長は3月の中央教育審議会の特別部会で「国立大の学費を年150万円に上げるべきだ」と提言を行いました。今回の自民党の提言はそれと同じ方向性であり、国立大学の学費を値上げして、私立大学の学費値上げを誘導するものです。
20年間で13%削減された国立大学の運営費交付金や補助率が1割未満に下がった私立大学への私学助成についてはどちらも「拡充」としていますが、財源は示していません。「民間からの投資を含めた多様な財源確保の推進」としています。
国立大学の「改革方針」として、「国際競争力の強化」や「地域をけん引する」などの役割に応じ、「メリハリある支援を推進」とし、大学間の格差をさらに広げようとしています。
私立大学については「チャレンジや経営改革を行う大学に対しての一層の支援、私学助成の更なるメリハリ付け」を実施するとしました。
少子化で入学者数の減少が見込まれるとして、私立大学の「厳格な評価」をすることで、「撤退」を促すとしています。私大の淘汰(とうた)・選別をさらに強化するものです。