2024年5月22日(水)
財政審建議
軍事費増額前提に社会保障削減要求
財務相の諮問機関である財政制度等審議会は21日、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に向け、軍事費増額を前提に社会保障・教育削減を求める建議(意見書)をまとめました。
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建議では「大規模地震」の発生や「新たな感染症の拡大」に加え、「安全保障」を例示しながら、「有事において財政面でも機動的な対応が可能となるよう、常に財政余力を確保していくことも求められる」と、軍事費の増額を当然視。そのために「今後債務残高対GDP(国内総生産)比を安定的に引き下げる」「平時においては節度ある財政運営を行う」と、さらなる歳出削減を求めました。
しかし建議は大企業・富裕層に応分の負担を求めることはせず、もっぱら社会保障と教育への支出を敵視し、削減を求めます。
社会保障については「給付の適正化」(削減)のための「改革」を「着実に実施していく必要がある」と強調しました。医療では▽金融所得・資産も勘案して75歳以上の患者負担を増やす▽医学部定員を「適正化」(削減)する▽生活保護の医療扶助費を「適正化」(削減)する―などをあげました。介護でも▽2割負担の対象者拡大を早急に実現する▽要介護1・2の訪問・通所介護の保険給付外しをめざす▽ケアプラン作成に利用者負担を導入する―などの制度改悪を求めました。
教育分野では教員の異常な長時間労働の是正に、現場からは残業代不支給制度の見直しや基礎定数の大幅増を求める声が上がる一方、文科省は残業代不支給に手を着けないまま月給の4%を一律に支給している教職調整額の10%以上への引き上げと、政策目的に応じて配分する加配定数の拡充を目指しています。財政審の建議は、文科省の教職調整額の引き上げ案に難色を示し、加配定数については「合理化」を求めています。教員の長時間労働はいっそう悪化することになります。