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2024年5月18日(土)

無償化へ半額早く

巨大私学35% 学費高騰

背景に国の助成減 負担もう限界

写真

(写真)早稲田大学・正門前

 1万人以上の大規模私立大学の35%が4月に全学部で授業料値上げを行ったことが本紙の調べでわかりました。過去最高額だった23年度の私立大学の初年度納付金を更新することは確実です。国際公約の学費無償化をめざして国が助成を増やし、今すぐ半額にすることが必要です。(染矢ゆう子)

 本紙は40ある大規模私立大学を調査。35%にあたる14大学が4月に全学部で授業料を値上げしました。

物価上昇

 入学金なども含めた初年度納付金は早稲田大学法学部で117万円から125万円へ8万円、理工学部は170万9000円から184万7000円へ、13万8000円の値上げです。

 立正大学は全学部7万円超、立教大学は同5万円の値上げです。慶応大学は2万~5万円の値上げ。慶応大学や上智大学は2年連続で値上げしています。東京理科大学は経営学部を除き10万円(二部は7万円)値上げしました。立命館大学も1学部を除き約8万~約11万円値上げしました。

 早稲田大学では「物価高騰をはじめとする本学を取り巻く状況を総合的に勘案」し「教員学生比率(ST比)の向上や施設設備の充実等も含め教育の質向上を図るため」、上智大学では「物価上昇率を踏まえて改定」と説明しています。

 保護者の負担は限界です。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が4月に発表した調査には父母から「奨学金を利用し、家計も切り詰め、本人のアルバイトありきで大学生活を始めましたが無理がたたってすでに体調を崩し、1カ月通学できず、再履修などさらに本人にとって苦しい状況」「母子家庭でも年収400万円だと補助金は受けられません。2人分の学費を年間300万円払わなければならず、到底生活費は足りません」などの声が寄せられています。

国際公約

 日本私立大学教職員組合連合の政策委員で明治大学名誉教授の野中郁江さんは「私学助成が減り続けていることが学費高騰の原因です」と話します。運営費の5割を目指すとされた国の補助は現在1割を切り、53年前の水準以下まで落ち込んでいるという試算もあります。「物価上昇や消費税の増税に伴う経常費補助のアップは一切ありません。施設設備費の補助は“すずめの涙”で全く出ない大学がほとんどです。国がもともとの目標である経常費の2分の1を補助すれば、学費は42%下げられます」

 日本政府は国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回しました。学費無償化をめざし、値下げしていくことは国際公約です。


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