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2024年5月7日(火)

主張

政党助成制度30年

堕落を招いた「泥棒に追い銭」

 年総額315億円もの国民の税金を、総務省に「もらいたい」と届け出た政党で山分けする政党助成制度が始まって今年で30年です。脱税や選挙買収も疑われる違法な裏金づくりを行った自民党の今年の山分け額は半分の160億5328万円と決まり、同党はさっそく最初の支給分40億1332万円を受け取りました(4月19日)。まさに「泥棒に追い銭」です。企業・団体献金の全面禁止と一体に、深刻な「政党の堕落」をまねいている政党助成制度は廃止すべきです。

■民主主義壊す制度

 政党助成制度は民主主義を壊す制度です。年間の総額は直近の国勢調査の総人口に250円を掛けて算定されます。有権者でない赤ちゃんまで含まれます。政党を支持するかしないか、どの政党を支持するかしないかの考慮はありません。

 そもそも政党は共通の理念・政策を実現するために自主的に集まる組織です。それを税金で支えるのは筋違いです。政党助成制度によって国民は1人250円を政党に“強制カンパ”させられているのです。「思想・信条の自由」「政党支持の自由」を侵す憲法違反だとして日本共産党は反対し、政党助成金を受け取っていない唯一の政党です。

 山分け額はどうか。届け出た政党だけの1月1日時点の衆参議員数や直近の衆参選挙の得票数の割合で決められます。

 今年分でみると自民党衆参国会議員1人当たりの助成金は4235万円です。しかし1月1日以降、裏金事件で塩谷立元文科相、世耕弘成前参院幹事長ら5人が離党・議員辞職していますが、同党は5人分2億円以上をそのまま受け取ろうとしています。2019年参院選で河井案里元参院議員が選挙買収で当選無効、有罪が確定した後も自民党は同氏の政党助成金分を丸々受け取りました。当時自民党総裁だった菅義偉首相は「議員離党で返還する仕組みがない」(21年3月5日の参院予算委員会)と居直りました。

 政党助成金ほしさに政策抜きの離合集散が繰り返され、多くの政党が運営資金の大半を税金に依存する「官営」政党となっています。制度導入から受け取った政党は50以上で、今年4月まで約9250億円もの税金がばらまかれました。

 政党助成制度は「企業・団体献金の廃止」を口実に導入されました。しかし、政党本部・政党支部、政治資金パーティー券購入という形での政治団体への企業・団体献金は温存され、政党助成金との“二重取り”が続いています。

■「政治改革」検証を

 政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て、国民から「浄財」を集め、活動資金をつくることが基本です。日本共産党はそれを実践しています。苦労して資金を集めず税金頼みになればカネへの感覚がまひし、腐敗政治をつくりだすことになります。民主主義を壊すきわめて有害な税金の使い方である政党助成制度は廃止すべきです。

 衆院では政治改革特別委員会の議論が始まりました。連休明けには参院でも特別委が動き出します。政党助成制度を導入した1990年代の「政治改革」の中身をあらためて検証することも必要です。


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