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2024年5月5日(日)

アベノミクスの過ち(下)

日本はインフレ不況危機

グラフ
グラフ

 アベノミクス以降の11年間で、国民は貧しくなり、日本経済は危機的状況に追い込まれました。

 名目賃金の低迷と物価上昇、消費税増税などの影響で、実質賃金は2012年の404万6千円から23年の371万円へ、年額33万6千円も落ち込みました(グラフ上)。直近でも23カ月連続で前年同月より減っています。

 その結果、消費が冷え込みました。12年から23年までの間に家計の実質消費支出は年額45万円も低下しました(グラフ下)。直近でも、2人以上世帯の実質消費支出は12カ月連続で前年同月より減っています。

倒産が増加

 東京商工リサーチの調査によると、輸入原料などの価格上昇分を転嫁できない中小・零細企業を中心に、倒産が増えています。23年度の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年度比31・5%増の9053件にのぼりました。

 日銀が「賃金と物価の好循環を確認」したといいながら金融緩和を維持する理由の一つは、「好循環」が大多数の国民と中小企業に及んでいないことです。

 実際、3月19日の金融政策決定会合で日銀の中村豊明審議委員はマイナス金利解除に反対し、「業績回復が遅れている中小企業の賃上げ余力が高まる蓋然(がいぜん)性を確認するまで継続すべき」だと主張しました。植田和男総裁は同日の記者会見で「消費が思ったように回復してこないというのが下振れリスク」だと述べました。

抜本転換を

 下関市立大学の関野秀明教授は「物価上昇と不況が同時進行するインフレ不況(スタグフレーション)に、日本経済は陥っている」と指摘します。

 「円安と物価上昇を止めるために利上げをすれば、利払いが増えてローン破綻が続出し、株価も下落して大不況になります。利上げをせず円安と物価上昇を放置しても、実質賃金の低下と中小企業の経営悪化に拍車がかかり、大不況になります。出口がなく、日銀はもがいている状況です。この危機から抜け出すためには、物価上昇を大幅に上回る国民全体の所得増加を実現し、利上げに耐えられる経済をつくらなければなりません。株価上昇のために国民を犠牲にしてきたアベノミクスの抜本転換が不可欠です」(おわり)


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