2024年5月3日(金)
たたかってこそ社会は進歩
団結が働く権利守る
ドイツ
欧米各地で1日、メーデーを祝い、労働者が集会やデモ行進を行いました。労働時間の短縮や賃上げ、移民労働者の権利向上などを訴えました。
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【ハノーバー=吉本博美】ドイツではナショナルセンターのドイツ労働総同盟(DGB、約570万人)が「賃金と自由、安心を今よりも」をテーマに1日のメーデーを祝いました。全国450カ所で集会とデモ行進を組織し、約33万人が参加。DGBは「人々の団結こそが働く権利を守る唯一の方法」だと訴えました。
ヤスミン・ファヒミ委員長は北部ハノーバー市で開かれた中央集会で、国内労働者が毎年計13~20億時間の残業を強いられ、うち半分以上が無給だと批判。「何度もたたかってこそ社会は進歩する」と強調し、団体交渉を通じて賃上げと待遇改善を実現しようと呼びかけました。
さらに極右勢力の台頭にも触れて「労働組合は自由と平等、公正のためにたたかう運動体。人々に分断をもたらす極右を食い止めよう」と訴え。6月の欧州議会選では民主主義を掲げる左派政党に投票するよう呼びかけました。
メーデーが国民的祝日のドイツ。中央集会の会場には加盟労組のテントや屋台も立ち並び、家族連れや若者など多くの人々が行き交っていました。
看護師のポリーナ・クラフトさん(28)は新型コロナウイルスのパンデミック下にDGB加盟の主要労組、統一サービス産業労組(ベルディ)に加盟しました。
コロナ禍の当時は朝から晩まで働き詰め。収束後も給与が上がらず「自分の仕事には価値がないのかと、心身ともにつらかった」と振り返ります。ベルディは看護師を含む医療従事者の最低賃金引き上げを求め続け、2023年8月に約13%の賃上げを勝ち取りました。
「家族や友人にも言えなかった弱音を労組の人たちが真摯(しんし)に聞いてくれて、働き方を一緒に良くしようと支えてくれた。本当に救われた」とクラフトさんは笑顔をみせました。