2024年5月2日(木)
教訓・課題考える集い
水俣病事件 被害者団体が報告
公式確認から1日で68年の水俣病事件の教訓・課題を考える集いが4月30日、熊本県水俣市で開かれ、オンライン視聴を含め約120人が参加しました。
「ノーモア・ミナマタ第2次熊本訴訟」弁護団の中島潤史弁護士が講演し、144人の原告のうち25人を水俣病だと認めたものの除斥期間を適用して原告全員の請求を棄却した熊本地裁判決について、水俣病問題の歴史的経緯を踏まえず、疫学的知見と共通診断書の所見を軽視した点で司法の役割を果たしたとは言えないと指摘。一方、「少なくない数の未救済患者の存在を明らかにし、水俣病問題の解決の必要性を示したことには一定の意義がある」としました。
被害者団体の報告で「水俣病不知火患者会」の森正直さん(ノーモア・ミナマタ原告団長)は「熊本地裁判決は水俣病の症状と(福岡高裁に続く)長い裁判の二重の苦しみを強いるもの。人道上許せない」と批判。「水俣病胎児性・小児性患者家族支援者の会」の松永幸一郎さんは水俣病による体力の衰えを「本当に悔しい」と述べ、「水俣病被害者互助会」の佐藤英樹さんは「公害の原点でありながら、(国が)いまだ健康調査すらしていないのに被害者を(司法が)切り捨てるのは間違いだ」と話しました。
意見交換では参加者が「いまの被害者の多くは(抵抗のできない)胎児や子どものころにり患した許しがたい事件だということを強調したい」(女性)などと発言しました。