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2024年4月26日(金)

女性への嫌がらせは犯罪

欧州議会が指令可決 加盟国は保護強化を

オンラインでも

 【ベルリン=吉本博美】欧州連合(EU)の欧州議会は24日、女性に対する暴力やDVを犯罪とする初の指令を賛成多数で可決しました。27加盟国にジェンダーに基づく暴力防止、被害者の保護・支援の強化を法的拘束力を持つ形で定めました。

 新指令はオンライン上を含むハラスメント(嫌がらせ)を犯罪と規定。AI(人工知能)生成を含む一方的なわいせつ画像の送信や、元配偶者や交際相手などの性的画像や動画を同意なく公表する「リベンジポルノ」も含みます。女性の政治家、ジャーナリスト、人権活動家に対するオンラインハラスメントの厳罰化も定めました。

 指令は、オンライン上の暴力は「女性を沈黙させ、男性と対等な土台での社会参加を妨げる」とし、「被害者を社会的に排除する動きをもたらし、自傷行為や、極限的には自殺にまで至らせる」と非難しています。

 加盟国に対し、被害者と関わる機会の多い裁判官や警察への教育強化も命令。人権と被害者中心、ジェンダー平等を十分に考慮し、トラウマを負う場合の接し方も学ぶよう求めました。被害女性への支援・医療機関の予算と人員の充実も明記しました。

 EU域内では3人に1人の女性が暴力を経験しています。フォンデアライエン欧州委員長は、女性への暴力根絶を優先課題として位置付け。欧州委員会が2022年に発表した原案は「同意のない性行為はレイプ」と規定しました。

 一方で東欧諸国やドイツ、フランス、オランダはレイプの規定に反対。「同意のない性行為が犯罪であることの啓発を強める」との妥協案が出され可決しました。

 欧州議会の市民平等委員会のエービン・インシール共同報告者は新指令を「女性の権利を強化し、恐れと抑圧から解放されて生きていける未来に向けた歴史的一歩だ」と評価。欧州最大の女性団体「欧州女性ロビー」も画期的成果と歓迎し、「市民活動家、被害から生き抜いた人々、フェミニストの政治家の努力」に謝意を表明しました。


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