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2024年4月23日(火)

ガザの学校8割以上が破壊

“未来奪う”教育への攻撃

国連専門家・学者ら抗議

 イスラエルのガザ攻撃で、大学や学校の破壊、教授や教師、学生の殺害が大規模に行われ、「パレスチナの教育制度への組織的破壊」が行われていると、国連の人権専門家らが18日、批判する声明を発表しました。この問題では、米、カナダ、メキシコの学者らも公開書簡を発表し、21日時点で2500人以上が賛同を寄せています。(伊藤寿庸)


 イスラエルがパレスチナ占領の中心的な戦術に位置付ける学術・教育の抹殺を、英オックスフォード大学のカルマ・ナブルシ氏は「スコラスティサイド」と命名。これへの非難が世界で広がっています。

 国連人権理事会の特別報告者のファリダ・シャヒード(教育を受ける権利担当)、フランチェスカ・アルバネーゼ(パレスチナ占領地の人権担当)の各氏を含む人権専門家ら25人が発表した声明は、「ガザの学校の8割以上が損傷、破壊された。パレスチナの教育制度を全面的に破壊する『スコラスティサイド』が意図的に行われているのではないかと問われるのは当然だ」と指摘。

 教育インフラの破壊は、「人々の学習権や、自由に自らを表現する権利など基本的権利に長期的な破壊的影響を与え、次の世代のパレスチナ人から未来を奪っている」と批判し、「これらの攻撃は、孤立した事件ではない。パレスチナ社会の基盤そのものを破壊することを狙った系統的な暴力のパターンを示している」と述べています。

 声明によると、6カ月以上続くガザ攻撃によって、少なくとも学生5479人、教員261人、大学教授95人が殺害され、学生7819人、教員756人が負傷しました。教育施設の6割が破壊・損傷され、これには13の公共図書館が含まれています。歴史的な遺産が195カ所、モスク227カ所、教会3カ所が破壊され、150年の歴史を持つ中央文書館も破壊されました。62万5000人以上の学生・生徒が教育を受けられないでいます。

 北米の350以上の大学の2500人以上の学者が賛同した公開書簡は、「イスラエルによるガザでの学者、学生、教育機関、文化遺産を狙った系統的な攻撃を非難」しています。賛同者の中には、ガザで教壇に立った教育機関が破壊され、教え子が殺された人もいます。

 書簡はまた、教育を受ける権利は、イスラエルも締約国となっている、世界人権宣言、教育差別禁止条約、人種差別撤廃条約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約にうたわれており、どんな事態でも守られるべきだと指摘。イスラエルに対して、即時停戦や、国際司法裁判所が発した1月の暫定措置の履行などを求めています。


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