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2024年4月20日(土)

主張

農政の抜本的転換

食と農の希望はここにある

 食や農の今後のあり方に関わる食料・農業・農村基本法改定案が衆議院を通過しました。審議を通じて浮き彫りになったのは、自民党政権にこれ以上農政のかじ取りはまかせられない、抜本的転換は待ったなし、ということです。

 国の農政に問われているのは食料自給率の低下や農村の崩壊など直面する危機をどう打開するかです。改定案は自給率目標を投げ捨てたうえ、危機を招いた従来路線の延長での対応にとどまり、危機打開どころかさらに深刻化させるものと言わざるをえません。

 自給率低下や農業者激減の原因について自らの農政への検証や反省を一切行わず、責任逃れに終始していることも重大です。

■発展の条件はある

 食や農の未曽有の危機は歯止めのない輸入自由化や農業の市場まかせなど自民党政治に歴史的責任があります。「食料は安い外国から輸入すればいい」として農業を切り捨ててきた結果です。いま必要なのはその流れの根本的な転換です。

 日本には温暖多雨な自然、高い農業技術の蓄積など農業を発展させる条件は十分あります。ないのは、それを生かす政治の力です。

 欧米諸国では政治が農業・農村の役割を重視し、手厚い保護で支えています。

 日本共産党は農業を国の基幹的生産部門に位置づけ、食料自給率の向上を国政の柱に据え、農業と農村の再生に力を尽くすことを訴えています。なかでも急がれるのは農業者が安心して営農に励み、農村で生活を続けられる土台を政府の責任で整えることです。

■価格と所得補償を

 「若い人がなぜ継がないかといえば(農業で)食えないからだ」。基本法見直しの審議会ででた農業者の声です。これを真剣に受け止め、事態の抜本的改善に力を入れるべきです。近年、困難ななかでも若者が農村に移住し、就農する動きが広がっています。これを政治が本格的に後押しすれば担い手が大幅に増えることは間違いありません。

 最大のカギは生産費に見合う価格保障と所得補償の充実です。EU諸国では食料の安全保障や環境保全、農村の振興などに着目して手厚い所得補償を行っています。日本も同様の補償を行えば、農業と農村の再生の展望は開けます。

 農林水産予算の抜本的な増額も不可欠です。1980年には軍事費の1・6倍あった農水予算が今日では3分の1以下にされ、国の予算に占める割合も8・4%から2・3%へ低下しています。予算のあり方を大軍拡から国民の命第一に改めれば農業の再生に必要な予算は生み出せます。

 「食料安全保障」と言いながら、いざというときに国民を飢餓にさらす亡国の自民党農政、その根本にあるのは米国いいなり、大企業の利益優先の政治のゆがみです。国民の苦しみをよそに「裏金づくり」に熱中し「戦争する国づくり」に暴走するのも同じです。

 改定案の審議は参議院に移りますが、自給率向上目標の明記、価格・所得補償の実施を含めて農政の抜本的転換を迫る運動の強化が求められます。悪政ノーの国民的大運動に合流し、自民党政治を終わらせ、食や農に希望ある未来を切り開こうではありませんか。


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