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2024年4月8日(月)

党づくりの後退から前進への歴史的転換を
――全党の支部・グループのみなさんへの手紙

2024年4月7日 第2回中央委員会総会

 日本共産党が6、7の両日開いた第2回中央委員会総会で採択した、「党づくりの後退から前進への歴史的転換を――全党の支部・グループのみなさんへの手紙」は次のとおりです。

(1)

 全党の支部・グループのみなさん。

 第29回党大会は、大きな成功をおさめました。2カ月間の全党討議、党大会にむかう「党勢拡大・世代的継承の大運動」をふまえて、私たちは、全党の英知と豊かな経験を結集した歴史的な大会決定をつくりあげました。大会決定は、綱領路線をふまえ、内外情勢と日本の進路、多数者革命と党の役割、未来社会論の新しい発展など、あらゆる面で豊かで新鮮な内容をもつものとなりましたが、そのなかでも今大会期の私たちの最大の任務として確認したのは、次のことでした。

 「新たな大会期を党づくりの後退から前進への歴史的転換を果たす大会期にしよう」

 この仕事をやりぬく最大の保障は、すべての支部・グループが、それぞれの条件を生かして、党づくりの主人公として足を踏み出すことにあります。そして、それをやりぬこうとすれば、中央と党機関、支部・グループが互いに学びあい、互いに知恵をしぼって前途をひらく「双方向・循環型」の活動をさらに大きく発展させる必要があります。

 前大会期の最後の1年、中央委員会は「全党の支部・グループのみなさんへの手紙」を2回にわたって送り、支部のみなさんに「返事」を寄せてほしいと呼びかけました。中央委員会は、6割近くの支部から寄せられた「返事」から、悩みを受け止め、教訓を学び、法則的活動の方向を打ち出し、前途をともに開拓してきました。こうした「双方向・循環型」の活動をさらに大きく発展させてこそ、「つよく大きな党」をつくり、党建設で前進・飛躍をかちとることができる――これが私たちの確信です。このとりくみは、その第一歩を踏み出したばかりのところです。さらにこの流れを大きくすすめ、「党づくりの後退から前進への歴史的転換」を力をあわせてやりとげることを願い、ここに、第2回中央委員会総会の総意として、全党の支部・グループのみなさんに手紙を送ります。

(2)

 全党の支部・グループのみなさん。

 いまの情勢をどうとらえるか。大会決定は、腐敗政治、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国などについて、「今起きている問題は、どれをとっても自民党内で政権のたらいまわしをすれば解決するという問題ではありません。自民党政治の全体が末期的な状況に陥っています」と情勢を特徴づけました。それから2カ月半、この解明の方向で、情勢の劇的な進展が起こっています。

 裏金事件が、自民党政治の全体を根底から揺さぶる一大事件に発展しています。ロッキード・リクルート・ゼネコン・佐川急便事件など、これまでの金権腐敗事件は、特定の政治家が企業からワイロを受け取り、政治をゆがめた事件であり、疑惑の政治家を「断罪」し、「表紙を替える」ことで、自民党はなんとか乗りきってきました。しかし、今回は自民党の主要全派閥がかかわる組織的犯罪であり、「替える表紙」がありません。自民党政治を終わらせるしか根本的な解決法はありません。

 「国民には1円単位で納税を迫りながら、自分たちは裏金脱税か」――暮らしの困難と一体に、怒りが広がっています。物価高騰で暮らしも営業も大変なうえに、インボイス増税、社会保障の削減・負担増、重い教育費負担。「失われた30年」につづく「アベノミクス」の失敗による矛盾が噴き出しています。ところが自民党政治は、自らが招いた経済失政を打開するすべをもちません。

 「赤旗がなけりゃ裏金裏のまま」(「赤旗」川柳)――この大激動をつくりだしたのは、「しんぶん赤旗」のスクープであり、全国の支部と党員のみなさんが、日々草の根で配達・集金し、読者を拡大し続けてきたことが、自民党政治をここまで追い詰めているのです。このことに誇りと確信をもち、企業・団体献金の全面禁止、「経済再生プラン」を掲げて、政治的な大攻勢をかけようではありませんか。

 平和をめぐっても、「自民党政治の全体が末期的状況」に陥っています。この間、自公政権は、集団的自衛権行使容認、専守防衛の放棄、敵基地攻撃能力保有など、戦後の歴代政権が憲法にもとづく「平和国家の理念」としてきたものを、つぎつぎに投げ捨ててきましたが、ついにそれは、次期戦闘機など殺傷兵器の輸出解禁にまでおよびました。「非核三原則」と並んで「国是」とされてきた武器輸出禁止を投げ捨て、日本を「死の商人国家」に堕落させることが、世界とアジアの日本への信頼をどれほど傷つけることになるか、はかりしれません。

 この異常な暴走は、危険きわまりないものですが、同時に、岸田政権が追い詰められ、なりふり構わぬ延命策に走っていることのあらわれです。アメリカと日米同盟を絶対視する勢力の後ろ盾を得て、危機を乗り切り延命をはかろうというのです。

 いま平和の問題でも大攻勢をかけるときです。武器輸出をやめよ、戦争する国づくりを止めようと、一貫して正面から対決しているのが日本共産党です。戦争の心配のない東アジアをつくる「外交ビジョン」――憲法9条を生かした平和の対案を示しているのは日本共産党をおいてほかにありません。4月17日の講演「東アジアの平和構築への提言――ASEANと協力して」は、国内外から大きな注目を集めています。102年の歴史をつうじて反戦平和を貫く党として、「憲法守れ」「戦争準備でなく平和外交を」と、全国の地域、職場、学園に声を響かせようではありませんか。

 党大会で選出された新指導部体制への注目と期待が高まっています。とくに女性新委員長の誕生は幅広い方々から歓迎され、ジェンダー平等を身をもって実践している党の姿勢が評価されていることはうれしいことです。

 末期的な状況に陥っている自民党、国民に希望ある政治をさししめし期待を高めつつある日本共産党――「つよく大きな党」をつくり、党の躍進をかちとる歴史的チャンスの情勢が目の前に広がっています。みんなで足を踏み出し、チャンスを成果に結びつけ、来たるべき総選挙で必ず勝利をきりひらこうではありませんか。

(3)

 全党の支部・グループのみなさん。

 この2年間は、わが党にとって歴史的な分かれ道となる2年間です。

 党大会決定は、次期党大会までに、すなわち2年間で、①第28回党大会時現勢――27万人の党員、100万人の「しんぶん赤旗」読者を必ず回復・突破すること、②第28回党大会で掲げた青年・学生、労働者、30代~50代での「党勢倍加」、1万人の青年・学生党員と数万の民青の建設をはかる「5カ年計画」の実現にむけ、2年後までの目標をもち、やりとげることを決めました。

 2年間でこの目標を実現できるかどうか。ここに文字通り、わが党の命運がかかっています。

 この目標をやりきるならば、その先には大きな展望が開かれます。長期にわたる党勢の後退から前進に転じる画期的な到達に立つことができ、5年間で「130%の党」の峰に達する自信と展望を得ることができるでしょう。それは直面する総選挙での日本共産党の躍進、沖縄県議選をはじめ中間地方選挙での勝利、来年の都議選・参院選の連続選挙での躍進をかちとる最大の保障となり、日本の“夜明け”を大きくきりひらくものとなるでしょう。

 党勢拡大で前進している支部からは、「地域の要求や職場の労働者の声がつかめるようになり、支部の存在意義に確信がもてた」「新入党員がさっそく足を踏み出し、支部が元気になっている」など、支部が生まれ変わる力をえたとの喜びの声が寄せられています。あなたの支部も新しい仲間を迎え、前進への一歩を踏み出そうではありませんか。

 一方、この2年間、党づくりがすすまなかったらどうなるか。わが党の任務が果たせなくなる事態に直面することは、みなさんが痛いほど感じておられることだと思います。「党の旗を地域で示せなくなっている」「選挙をたたかう自力があまりに足りない」「『しんぶん赤旗』が配れなくなった」――全国のみなさんが直面している困難に、私たちが胸を痛めない日はありません。しかし困難に負けて、党づくりをあきらめてしまったら、未来はなくなり、国民への責任を果たせなくなってしまいます。試練にたえて党の灯を守りつづけていること自体が大きな値打ちのあることです。そこに自信と誇りをもち、困難は党づくりで突破するという立場にたち、みんなで築いてきた草の根の党の旗を未来へと引き継いでいこうではありませんか。

 党大会で掲げた2年間の目標は、決して無理な目標ではありません。すべての支部が毎月毎月、党員と読者の拡大に足を踏み出し、一つの支部に平均すれば、第29回党大会現勢から2年間で2人の党員、2人の日刊紙読者、8人の日曜版読者を増やすという目標です。全国のすべての支部と党員がたちあがるならば、必ずやりとげることができます。

 どうか大会で決めたこの目標を、あなたの支部でよく議論し、具体化してください。あなたの支部の歩みを決して途絶えさせることなく、バトンを次の世代に手渡し、新たな党の歴史をつくることを心から訴えるものです。

(4)

 全党の支部・グループのみなさん。

 この手紙を支部で討議し、つぎの「三つの活動」を具体化することを呼びかけます。

 第一は、党大会決定を全党員のものにする活動です。

 党大会決定には、党の世界論・外交論の新たな発展、日本の政治の行き詰まりの打開の方途、多数者革命と日本共産党の役割、党建設の歴史的教訓と大局的展望、「人間の自由」をキーワードにした未来社会論の発展など、新しい理論的・政治的突破点がぎゅっと詰まっています。そこには、全国の支部と党員の活動の豊かな経験に学んでの前進への足がかりを示す宝物がたくさん盛り込まれています。

 まず大会決定を、支部のすべての党員に届けましょう。いま活動に参加することが困難な同志にも、支部の思いをこめて大会決定を届けることは、一人ひとりの党員の実情を知り、互いに尊重しあって活動するあたたかい支部をつくる新たな一歩になるでしょう。そして、最優先で時間をとって読了をすすめましょう。読了会をはじめ、一人ひとりの条件にあわせて読了のとりくみへの援助も強めましょう。

 党大会決定を全党員のものにすることによって、「どんな困難にも負けない党」「知的魅力によって国民の共感を広げる党」「一人ひとりが成長できる党」をつくろうではありませんか。

 第二は、「車の両輪」の活動の具体化・実践です。

 党大会決定を討議し、全面的に具体化しましょう。総選挙勝利を正面にすえ、得票目標・支持拡大目標を決めましょう。「政策と計画」をつくり、充実させ、要求にこたえる活動にとりくみつつ、党勢拡大の目標をもち独自追求をすすめましょう。党押し出しポスターを張り出し、宣伝・対話活動におおいにうってでましょう。

 国政での要求とともに、地域、職場、学園での身近な要求を出し合い、多様な要求運動にとりくみましょう。多くの党員が、さまざまな運動団体の構成員にもなっています。その団体の要求運動を支部として位置づけてとりくむことも大切です。

 党員拡大・入党の働きかけの日常化をはかりましょう。「党員拡大をたえず支部会議の議題にする」「党の側から働きかけの対象を狭めず、思い切って広く入党を訴える」「一回一回の働きかけを評価し、『あなたに入ってほしい』と訴えるチャレンジを励ましあう」「大・中・小の『集い』を開き、『入党のよびかけ』を活用する」――これらの試されずみの鉄則を生かした活動をすすめましょう。

 「しんぶん赤旗」をよく読み、配達・集金活動をみんなで支え、要求活動や党員の結びつきを生かして新しい読者を広げていく――「しんぶん赤旗」中心の党活動を発展させ、財政危機を打開し、「しんぶん赤旗」の発行を守りましょう。

 こうした活動をすすめるために、週1回の支部会議の開催、学習と党生活確立の「3原則」(「①支部会議に参加する」「②日刊紙を購読する」「③党費を納める」)が大切です。入党の初心が生かされ、党員みんなが成長できる支部活動をつくりましょう。

 第三は、党の世代的継承のとりくみを党建設の中軸にすえることです。

 「若い人を支部に迎え入れたい」――どの支部もつよい思いを持っています。この目で見れば、若い人との結びつきが見えてきます。まず、現にある結びつきを出し合ってみましょう。

 賃上げ、学校給食の無償化、学費・奨学金返済の負担軽減など、若い世代・真ん中世代の要求をとりあげて活動している支部で、新しい結びつきが広がっていることも重要です。この世代の願いにこたえる活動にとりくみ、結びつきを出し合い、「集い」や後援会活動、「赤旗」の購読などで、党としての信頼と結びつきに発展させて、入党を働きかけていきましょう。

 世代的継承は、地域支部、職場支部、青年・学生支部、各種団体の党グループのすべての力を結集し、文字通り全党運動にしてこそ成功します。ベテラン党員のみなさんは「自分たちの責任」として、真ん中世代のみなさんは「『空白』をとりもどすカギ」として、若い世代のみなさんは「ここから未来をつくる」決意でとりくもうではありませんか。

(5)

 全党の支部・グループのみなさん。

 この手紙は、中央委員会の反省と決意を込めてのものです。

 なぜ長期にわたって党勢の後退が続いてきたか。多くのみなさんが答えを求めていることだと思います。党大会では、ソ連・東欧の崩壊による反共の逆風などの客観的困難とともに、党の方針と活動という主体的要因に深くメスを入れ、この問いに対する答えをしっかりと出しました。

 80年代末~90年代、党員拡大を後景においやる方針がとられたことが、党員拡大の「空白の期間」をつくり、それが今日の党建設に大きな傷痕を残していること、そして傷痕がもたらす困難を自覚し、弱点を打開するイニシアチブがとれなかったことを、中央の反省として党大会決定に明記し、何があっても党員拡大をゆるがず党建設の根幹にすえ、持続的な前進をはかることを教訓としました。

 この決定が、都道府県、地区、支部まで受け止められ、「空白」をとりかえそうという真剣な議論と行動が起こっていることは、大変うれしく心強いかぎりです。「空白があったということは、その分、拡大の可能性が大きい」ということに着目した奮闘も始まっています。

 いま、「空白」による困難を乗りこえて党をつくる歴史的チャンスが存在しています。自民党政治の全体が出口のない行き詰まりに陥っています。貧富の格差の拡大や気候危機のもと、「資本主義というシステムをこのまま続けていいのか」という問いかけと、社会主義への新たな期待と注目が生まれています。第29回党大会決定が解明した「人間の自由」が花開く社会主義・共産主義の魅力は、旧ソ連などによる社会主義へのマイナスイメージを払拭し、若い世代の心をとらえる新鮮な力を発揮し始めています。

 「党員拡大・入党の働きかけの日常化」が、全党の合言葉として定着し、党の世代的継承の自覚的・意識的努力が広がっていることは、党員拡大の「空白の期間」による困難を克服し、新たな「空白」をつくらず、党を持続的な発展の軌道にのせていく重要な足がかりとなっています。

 私たち中央委員会は、党大会での深い反省と教訓にたち、党づくりの歴史的チャンスを必ず生かしきり、「空白の期間」による困難を打開し、党の新たな発展の時代を築くために、みなさんと心一つに頑張りぬく決意です。

 最後に、お願いがあります。みなさんの支部で、党大会決定にもとづく今後2年間の党勢拡大の目標を決め、「三つの活動」を具体化し、それをこの手紙への「返事」として、遅くとも5月末までに党機関を通じて中央委員会に届けていただきたいのです。

 私たちは、党勢拡大の運動が毎月一部の支部に担われている現状をなんとしても解決したい。すべての支部が「つよく大きな党」をつくる事業に主人公として参加する活動をつくるために、党機関として指導と援助の手をつくしたい。そのことを、第2回中央委員会総会で固く誓いあいました。

 「返事」は全面的なものでなくてもかまいません。まずここから始めるというものでも、あるいは支部の現状や悩みを伝えるというものでも、みなさんの支部の歴史をつくる大事な一歩となることは間違いありません。

 第29回党大会決定の実践に、みなさんと心一つに全力をあげる決意を込めて、お手紙といたします。


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