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2024年4月5日(金)

主張

自民党裏金処分

幕引き図るも深まる自己矛盾

 見え見えの真相解明の幕引き。しかし、そうすればするほど深刻な矛盾と混迷を深めることになる―。政治資金パーティー裏金事件をめぐり、自民党が4日発表した所属議員の処分内容です。

■岸田、二階氏除外

 処分されたのは安倍派、二階派の39人です。2月に公表した党内調査で明らかになった裏金議員・党支部長は85人にのぼりますが、「5年間で500万円以上の裏金額」で線引きしたため、処分議員は半数以下となりました。

 金額がどうであろうと裏金は裏金です。この線引き自体、主要派閥がそろって政治資金収支報告書を偽造していたという重大な組織的犯罪への反省がないことを示しています。

 処分のでたらめさも際立ちます。岸田文雄首相(党総裁)が会長を務めていた岸田派は、約3000万円の裏金づくりで元会計責任者が有罪になりましたが、岸田首相には処分はありません。離党勧告、役職離脱などの処分を自ら行えば、内閣総辞職になりかねないという自己矛盾です。

 まともな処分をすれば自民党そのものが壊れる。今回の裏金事件は、特定の企業(業界)が特定の政治家に賄賂を渡し政治をゆがめるというものではなく、自民党政治丸ごとのゆがみだということを象徴しています。

 二階派も約2億円の裏金づくりで会計責任者が在宅起訴されています。会長の二階俊博元幹事長は3526万円の裏金額トップにもかかわらず、「次期総選挙の不出馬」を理由に処分から除外しました。党内からも不満があがって混迷しています。

 国民からもSNSを含め「真相解明なきお手盛り処分だ」「やっぱり“上に甘く下に厳しく”か」など怒りの声が広がっています。

■「離党」ですぐ復党

 今回の処分では、キックバック(還流)の扱いを協議した安倍派幹部らを「離党勧告」「党員資格停止」「党の役職停止」などの処分としました。

 「離党勧告」といっても、ほとぼりが冷めれば速やかに復党させるのが自民党の常です。現に、新型コロナの緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブ通いが発覚し「離党勧告」を受けた松本純前衆院議員は1年後にあっさり復党しています。「役職停止」といっても、安倍派幹部はすでに処分前に党役員から外れており、実効性のないものです。

 安倍派幹部はこの間、衆参両院で開かれた政治倫理審査会で「知らぬ存ぜぬ」の弁明を繰り返してきました。裏金システムはだれが何のためにつくり、何に使ったのか。いったん廃止を決めた裏金の還流を安倍晋三元首相死去後復活させたのは何のためか。

 うその証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問を実現し、安倍派幹部、裏金づくりを始め還流の復活に関わっていた疑いのある森喜朗元首相らをそろって出席させて真相解明を進めることが不可欠です。

 自民党は、真相解明の早期幕引きをはかりながら、米国や財界・大企業の要望に応える暴走政治を強めています。こんな自民党政治を国民的大運動で一刻も早く終わらせようではありませんか。


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