2024年4月3日(水)
イスラエルが空爆
NGO外国人ら死亡
ガザ 7人、食料支援中
米ワシントンを拠点とする国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」は2日、声明で、パレスチナのガザで食料支援を行っていたWCK職員7人が1日に、イスラエル軍の空爆で殺害された、と発表しました。パレスチナ人、米国とカナダの二重国籍の人、英国人、オーストラリア人、ポーランド人らの命が奪われました。(洞口昇幸)
声明によると、空爆現場はガザ中部デイルバラ。海路からガザに搬入された食料支援物資を積んだWCKのロゴ入りの装甲車両などが、倉庫から出たところで「イスラエル軍と動向について調整していたにもかかわらず」、攻撃されたといいます。
イスラエル軍側は「この悲劇的な事件の状況を理解するために最高レベルの綿密な調査を実施している」とし、空爆したことを事実上、認めました。
WCKの最高経営責任者エリン・ゴア氏は「これはWCKへの攻撃であるだけでなく、食料が戦争の武器として使用されている最も悲惨な状況での人道支援団体への攻撃でもある。許しがたいことだ」と述べ、イスラエルを厳しく非難しています。
WCKは、X(旧ツイッター)の投稿で、イスラエルの軍事攻撃で飢餓が深刻化するガザ全域で「WCKのチームは毎日動員され、避難民となったパレスチナ人に食料を配給している」と述べ、60を超える場所で毎日何十万食分の炊き出しを行っていることを紹介していました。
WCKの創設者で著名な料理人のホセ・アンドレス氏もXに「心が痛み、悲しんでいる」と投稿。殺害された職員はガザやウクライナ、トルコなど世界各地でともに活動した「天使たち」だったと振り返りました。
その上で、同氏は「イスラエル政府は無差別殺戮(さつりく)や人道支援の制限をやめる必要がある」などと強調。「これ以上、罪のない人たちの命を失わせるな。平和は人間性を分かち合うことから始まる」と訴えました。
ロイター通信によると、アルバニージー豪首相はオーストラリア人職員の死亡を確認し、イスラエル政府に、関与した者に責任を取らせることを求めたと明らかにしました。同首相は2日の記者会見で「これは決してあってはならない人類の悲劇であり、全く容認できない」と述べ、ガザでの持続的な停戦を改めて呼びかけました。