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2024年4月1日(月)

岩手県 中小に賃上げ支援金

物価高対策 1人5万円

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(写真)岩手県の賃上げ支援制度のおしらせ

 岩手県は、時給50円以上の賃上げをした中小企業に対し、従業員1人あたり5万円を支給する「物価高騰対策賃上げ支援金」制度を創設しました。受け付けが2月5日から始まっており、3月25日時点で1250件、8871人分の申請がありました。

 同県は、物価の上昇ペースに賃金の上昇が追いついていない県内の中小企業が多いことから、賃上げ支援の必要があるとして、昨年12月、支援のための21億円を盛り込んだ補正予算を組みました。補正予算には全会派が賛成しています。

 支給対象は昨年4月以降、従業員の賃金を時給換算で50円以上引き上げた中小企業で、1人あたり5万円、1事業所に最大20人分、合計100万円を支給する制度。引き上げ後の賃金水準を1年間継続することなどが条件です。財源には国の「重点支援地方創生交付金」を活用することとしています。

税より直接に

 今年の春闘では大手企業を中心に5%の賃上げを決めましたが、まだ一部の企業にとどまっており、賃上げが物価高騰に追いついていない企業も多数あります。今後、中小企業が賃上げできるのかが課題となっています。

 政府が中小企業の賃上げ対策として行っているのは、賃上げした中小企業の法人税を減税する「賃上げ税制」です。6割の赤字企業は使えない制度で、今回、政府は赤字の企業が5年間繰り越して黒字になったら相殺できる繰越欠損控除制度を設けるとしています。与党税制大綱も、賃上げに向けた税制措置のインセンティブが必ずしも効かないと認めています。

 中小企業の賃上げが進まない原因の一つは、原材料やエネルギー、人手不足による労務費の高騰分を転嫁できないという問題です。原材料費の上昇分を転嫁できても、賃金について価格転嫁させてほしいと交渉できる中小企業はごく一部です。政府は賃上げした分を転嫁するよう促していますが、それだけでは賃上げできないことは明らかで、岩手のように中小企業の賃上げを直接支援する施策が必要です。

小池氏が紹介

 3月22日の参院財政金融委員会で、日本共産党の小池晃書記局長が岩手の賃上げ支援策を取り上げたのに対して、鈴木俊一財務相は「自治体の独自の取り組みとして評価したい」と答弁。小池氏は、国としてもこの取り組みに学び中小企業の賃上げを直接支援すべきだと求めました。

社会保険料減へ国もぜひ

日本共産党・斉藤信県議

 物価高騰を上回る中小企業の賃上げが切実な課題となっており、岩手県が時給50円以上の賃上げに1人5万円、上限100万円の直接支援を実施したことは高く評価できます。3月25日現在で1250件、8871人分が申請されており、20人以下の事業者の申請が64%を占めています。小規模企業に歓迎されています。しかし、県内の中小企業の65%は赤字で、労働者確保のための防衛的賃上げが実態です。資材代、賃上げ分の価格転嫁とともに、賃上げすれば社会保険料の負担が増えるなどの課題もあります。小池書記局長が取り上げた社会保険料軽減の国の支援があればもっと広がると思います。


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