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2024年3月24日(日)

春闘点描

郵政ユニオン たたかい続く

ベア3万円 内部留保の2.8%で可能

会社側は低額・ゼロ回答

 日本郵政はグループ全体の約半数を占める時給制契約社員の賃上げはゼロ回答、正社員には低額のベースアップ(ベア)を押しつけ、定期昇給廃止にまで言及しています。郵政産業労働者ユニオンは、非正規社員の休暇や手当の格差是正を求める裁判の最高裁勝利判決を確信に、すべての社員の大幅賃上げと均等待遇実現を求めて春闘をたたかっています。(玉田文子)


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(写真)日本郵政本社前でストライキ突入集会をする参加者=15日、東京都千代田区

 郵政ユニオンによると日本郵政がベアを実施したのは民営化(2007年)以降、わずか4回。08年は600円、14年と15年は1000円、23年は4800円相当と低額で、特に23年は正社員の休暇削減を前提にした賃上げとは言えないものでした。その一方で6兆円を超える内部留保を積み上げています。

 郵政ユニオンは今年の春闘を、物価高騰から暮らしを守るたたかいと位置づけ▽正社員ベア3万円以上▽時給制契約社員の時給200円以上アップ・全国一律時給1500円以上―などを求めて5回の賃金交渉を行ってきました。

 日本郵政は回答指定日から遅れて翌日午後9時すぎに回答する不誠実な態度で、内容も正社員は物価高に追い付かない平均月5100円の低額ベア。若年層には最大1万2200円ですが、中堅以降は2800円に抑え込むものです。定昇は廃止も含めた見直し検討を提起しています。

 グループ全体の4割に上る時給制契約社員の賃上げは昨年に続くゼロ回答です。時給制契約社員の賃金制度は、地域別最低賃金にわずか20円上乗せしただけ。最賃が毎年上がることなどを理由に要求に応じていません。

 超低額回答に断固抗議して郵政ユニオンは回答翌日の15日、全国20の職場で非正規社員を含む代表58人がストライキを実施。90人が参加した本社前集会で「全社員に一律3万円のベアを実施しても負担は内部留保の2・8%にすぎない」と強調しました。

本当の均等待遇実現を

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(写真)日本郵政本社前で大幅賃上げを求める郵政ユニオンの組合員ら=15日、東京都千代田区

 要員不足も深刻で春闘アンケートで職場の不安・不満の第1位は9年連続「要員不足」です。日本郵政は「JPビジョン2025」で3万5000人の削減計画を打ち出し、窓口一体化やコールセンター業務を集約。こうした中で始まったヤマト運輸との協業による物量増などで大幅増員が現場の切実な声です。

 ストに入った銀座郵便局の組合員は「会社が進める業務集約で労働強化が進んでいる。毎日のように期間雇用社員を募集しているが、劣悪な労働条件や時給の低さからすぐに辞めてしまう」と告発し、改善を求めました。

 郵政ユニオンが求めてきた非正規社員と正社員との格差是正にも会社は逆行しています。郵政ユニオン組合員は20年に夏期冬期休暇などの格差是正を求める最高裁判決を勝ち取っています。

 しかし日本郵政は、非正規社員に夏期冬期休暇を各1日付与する一方で、正社員の夏期冬期休暇各3日を1日に削減する労働条件改悪を強行。今春闘でも全社員に夏期冬期休暇各3日付与を求める郵政ユニオンの要求に応じていません。

 本社前集会でマイクを握った組合員は「お盆や正月も休まず働く郵政労働者にとって夏期冬期休暇は無くてはならないもので削減は納得できない」と強調。日巻直映委員長は「正社員の夏期冬期休暇を削減する見せかけの均等待遇を許さず、すべての郵政関連労働者の賃上げと均等待遇を求めていく。希望をもって働ける職場をめざして春闘をたたかい抜く」と話しています。


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