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2024年3月21日(木)

介護報酬改定パブコメ 前回の12倍

訪問介護巡る意見多数

「引き下げ反対」 「ヘルパー不足がより深刻化する」

 岸田政権は介護事業者や介護保険利用者・市民の大反対を押し切って、訪問介護基本報酬の2~3%引き下げを含む介護報酬改定を15日、告示(4月実施、一部6月)しました。同時に公表した意見公募手続き(パブリックコメント)の結果では、改定案に1190件の意見が寄せられていたことが分かりました。前回改定時(97件)の12倍で、同省老健局は「訪問介護報酬に関する意見が多かった。国会質問もあり電話もかかってきている」としています。


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(写真)訪問介護の基本報酬引き下げの撤回を求める団体・個人からの700の声を厚労省・審議官(右端)に手渡す、中央社会保障推進協議会の人たち=2月29日、厚労省内

 同結果には、「なぜ訪問介護の基本報酬を引き下げるのか。引き下げに反対」「基本報酬引き下げでヘルパー不足がより深刻化すると考えるが、どう対応していくのか」「訪問介護の収支差率が良好というが、小規模事業者の状況を適切に把握できているとは考えられない。引き下げは妥当ではない」など、引き下げ反対の意見が複数の類型でまとめられています。

 改定案を審議した同省の社会保障審議会介護給付費分科会でも18日、改定の影響を把握するよう求める声が相次ぎました。認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事は、「国会審議で訪問介護事業所の36・7%が赤字だったと報告された。なぜ審議会にそのデータを示さなかったのか。4割近い事業所が赤字のなかで引き下げが告示されたことに無念の思いがする」と訴えました。

 日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は、「事業所の持続可能性だけでなく訪問介護員離れにつながっているとの声も届いている」と強調。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員も「訪問介護事業所の閉鎖が増えているのではないか。在宅重視を掲げた介護保険だが利用者への影響が少なからずあることを危惧する」と語りました。

あきらめず撤回求める

ケア社会をつくる会世話人 暮らしネット・えん代表理事 小島美里さん

 パブコメへの意見が前回の10倍を超えたのは、訪問介護の信じがたい減額への危機感が大きかったからだと思います。私も、ちゃんと意見を言おうよ、と周囲に呼びかけました。

 しかし行政手続法42条の「提出された命令等の案についての意見を十分に考慮しなければならない」が順守されたとは思えません。訪問介護報酬の引き下げでは、厚労省はさまざまな機会に反論されてきたにもかかわらず、これまでどおりの回答を繰り返すだけです。私たちはあきらめることなく撤回を求め、意見を伝えていきたい。


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