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2024年3月16日(土)

論戦ハイライト

裏金・介護・夫婦別姓 国民の声を聞け

参院予算委 小池書記局長の質問

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(写真)質問する小池晃書記局長=15日、参院予算委

 日本共産党の小池晃書記局長は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件を巡る衆参両院の政治倫理審査会を通じて「疑惑が深まった」と指摘。森喜朗元首相ら幹部の証人喚問を求めました。さらに、訪問介護の基本報酬の引き下げは、在宅介護の崩壊を招くとして国庫負担の抜本的な引き上げを主張。選択的夫婦別姓の導入は経済界も要求しているとして、政治の責任で踏み切るべきだと迫りました。

小池 自民裏金 森元首相らの証人喚問求める

岸田首相 どの関係者に聴取するか判断する

 小池氏は、清和政策研究会(安倍派)の世耕弘成前参院幹事長が14日の参院政倫審で「何も知らない」「相談を受けたこともない」などと繰り返し、実態解明をする気が全くなかったと批判。自民党の石井準一参院国会対策委員長らも「疑惑の解明には至らなかった」と述べるなど、与党からもあきれる声が上がっているとして、首相の姿勢をただしました。

 小池 これで国民は納得すると思うか。

 首相 政倫審での説明責任で十分だというものではない。

 小池 十分でないどころか、疑惑はますます深まった。

 小池氏は、2022年4月の安倍派の幹部会合で、安倍晋三元首相がキックバック(還流)をやめるよう指示を出したが、安倍氏の死去後に開かれた会合で、還流の復活が議論されたと指摘。会合に出席した幹部4人の「(還流)継続はしょうがないという話し合いがされた」(塩谷立元座長)、「合法的な形にする案があった」(下村博文元事務総長)などの発言を示し、「出席者で言うことが全然違う。真相を明らかにする方法はただ一つだ」と迫りました。

 小池 証人喚問に4人そろって出席させ、誰が還流復活の提案をして、どう議論し、どういう結論に至ったかを問いただすしかない。

 首相 下村議員についても衆院政倫審での開催に向けた手続きを進めている。

 小池 一人ずつやってもらちが明かないことは明白だ。うそをつけば偽証罪に問われる証人喚問で4人そろって聞くのが一番いい。

 なおも「国会が判断することだ」と逃げ回る岸田首相に対して小池氏は「『火の玉になる』のではなかったのか。やるべきことを全然やってない」と厳しく批判しました。

 小池氏は「裏金づくりは自然現象ではない。誰かが始めたことは間違いない」と指摘。塩谷氏によると、安倍派で裏金づくりが始まったのは1997年から2000年ごろで、当時の安倍派会長は森元首相だと述べ、「自民党の政治刷新本部でも森元首相に話を聞くべきだとの声が上がっている」と迫りました。

 小池 安倍派の幹部には真相を明らかにする気はさらさらない。自民党総裁として、森元首相に国会出席を促すべきだ。

 首相 森元首相はじめ、どの関係者に聴取するかを判断する。

 小池氏は、幹部会に出席した安倍派幹部に加え、萩生田光一前政調会長、森元首相らの証人喚問を求めました。

小池 介護報酬引き下げ 国費投入で撤回せよ

首相、かつての公約を投げ捨て

 「在宅介護の灯を消していいのか」―。小池氏は、岸田首相が「医療や介護、福祉などの分野の賃上げは喫緊の重要な課題」と述べたにもかかわらず、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことを厳しく批判し、撤回を迫りました。

 訪問介護事業所の36・7%が「収支差率0%未満」の赤字で、「地域の家を一軒一軒回っている中小事業所は収入も人手も足りず、赤字に苦しんでいる」と指摘。日本医師会も訪問介護の基本報酬引き下げに懸念を示していると強調しました。

 小池 今でも赤字の介護事業所が、基本報酬の引き下げで地域から消えたら在宅生活の維持は困難になる。

 武見敬三厚生労働相 加算措置を幾重にも組み合わせている。

介護保険の公費負担増について述べた自民党・公明党の公約・政策

「持続可能な介護保険制度を堅持するため、公費負担の増加を図り、高齢化の進展により増大が想定される介護保険料の上昇を抑制します」

自民党 参院選公約J-ファイル2010

「介護施設の大幅な拡充や在宅介護の充実、介護職員の大幅給与アップ等につながる介護報酬の引き上げは必要ですが、介護保険料の上昇を抑制するため、公費負担割合を現行の5割から当面6割に引き上げ、2025年には介護保険の3分の2を公費で賄うことを提案します」

公明党 「新・介護公明ビジョン」2010年

 小池氏は処遇改善などの加算をいずれも取得していない事業所は全国で1割もなく、「大幅に加算が増える事業所は少ないのが実態だ」と反論。厚労省にも加算を増やす目標はなく、「決まっているのは基本報酬を下げることだけだ」と批判。「高齢社会をよくする女性の会」「ケア社会をつくる会」「認知症の人と家族の会」などの反対の声を紹介し、「前例のないことだ」と指摘しました。

 小池氏は「介護報酬の引き下げ中止に膨大な財源が必要なわけではない」と強調。訪問介護の総報酬年間約1兆円に対し、国庫負担はその4分の1で、基本報酬の約2%引き下げによる財政効果は約50億円にすぎないことを示し、「1万円のうち50円という、わずかなやりくりで撤回できる」と主張。2010年の自民党の参院選公約が「公費負担の増加」「介護保険料の上昇を抑制」を掲げていることを紹介(表参照)し、14年に田村憲久厚労相が「公費60%のうち10%増加分は国費」と提案していたことも示しました。

 小池 今こそかつての公約を実現するときではないか。

 首相 2012年の3党合意にのっとった社会保障と税の一体改革で公費負担5割とする現状の制度を維持した。

 小池 3党合意で、財政構造は変わっていない。当時の自民党の提案は公費6割だ。

 小池氏は「介護報酬の引き上げが保険料に直ちに跳ね返る財政構造を変えなければ、介護保険に未来はない」と主張。介護報酬の引き下げ撤回と、国庫負担割合の引き上げなど介護保険制度の抜本的な改革を求めました。

小池 選択的夫婦別姓導入に反対は自民の一部だけ

議場 大きな拍手 反論できない首相

 「反対は自民党の中の一部だけだ」―。小池氏は圧倒的多数の世論が求めている選択的夫婦別姓の導入を求めました。

 岸田首相は2021年の内閣府調査を挙げ、「意見が分かれている」と強弁しました。小池氏は同調査について、質問項目が大幅に変更され、旧姓の「通称使用」について法制審で却下された質問を加えるなどした意図的なものだと指摘されていると厳しく批判しました。

 選択的夫婦別姓については法政大学と国立社会保障・人口問題研究所の調査で83・9%が賛成しているとして、法制審がまとめた法案要綱を国会に提出し議論すべきだと強調しました。

 「国民の考えが分かれている」と言い張る岸田首相。小池氏は「分かれていない。導入の方向に世の中は変わっている」と述べ、今年2月に日本経団連の十倉雅和会長が「一丁目一番地として制度の導入を検討してほしい」とし、3月8日には「ビジネスリーダー有志の会」が導入を申し入れていると強調しました。

 小池 経済界からの要求をどう受けとめるのか。

 首相 国民の考え方が分かれている。

 小池 自民党以外はみんな賛成だ。分かれているのは自民党の中だけだ。別姓にしたくない人は同姓のままでいい。さまざまな意見があるから選択できるようにしよう。

 議場に大きな拍手が起こる中、反論できない首相。小池氏は「選択したいと言っている人の権利を奪う権利は政治家にはない。選びたい人が選べずに苦しんでいる。苦しみを取り除くのが政治の責任だ」と述べ、選択的夫婦別姓の導入を重ねて求めました。


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