2024年3月10日(日)
米のオスプレイ飛行許可
屋久島事故 闇の中へ
![]() (写真)漁船で回収されたCV22オスプレイの機体の一部とみられる物=2023年11月30日、鹿児島県屋久島町 |
米軍・防衛省は8日、垂直離着陸機オスプレイの飛行停止を解除して早期の運用再開にかじを切りました。しかし、飛行停止の契機となった昨年11月の鹿児島県屋久島沖でのCV22オスプレイ墜落をめぐり、事故原因も、事故を引き起こした部品の不具合の具体的な状況も、一切明らかになっていません。
「状況や原因、安全対策について、前例のないレベルで情報提供を受け、合理的と評価した」。木原稔防衛相は9日の記者会見で、飛行停止解除をめぐる米側の対応を高く評価しました。
しかし、米軍事ニュースサイト「ブレイキング・ディフェンス」などによれば、米国防総省のオスプレイ担当者は、CV22の残骸は長く海中に沈んでいたため腐食しており、事故原因の調査が困難だと指摘。ある高官は、「国防総省は決して立証できないかもしれない」として、事故原因を特定できないまま調査を終える可能性に言及しています。これが事実であれば、米側は屋久島沖での事故原因究明を闇に葬り去り、見切り発車したと言わざるをえません。
木原氏は、国内での飛行再開に先立ち、同省の職員を関係自治体に派遣する考えを示しました。しかし、事故の詳細は「米国内法の制限」がかかっており、その範囲内での説明にとどまるとしています。公式発表以上の説明ができなければ、およそ自治体・住民の理解が得られるとは考えられません。
米でも批判
オスプレイの飛行再開をめぐっては、米国内でも疑問や批判の声が相次いでいます。屋久島沖での事故直後から、調査に着手した米下院監視委員会のコマー委員長は6日、オスプレイの飛行停止が近く解除されるとの説明を受けたとした上で、「監視委員会はいまだに適切な情報を受け取っていない」として、国防総省を厳しく批判。今後も調査を継続するとしています。
米国内でオスプレイへの懸念の声が高まっている最大の要因は、22年から23年の2年間で20人が死亡するなど、事故による死亡が相次いだことにあります。開発段階の1990年代を含めると、これまでに57人が事故で死亡しています。
米軍予備役の支援団体、「リザーブ・オーガニゼーション・オブ・アメリカ」(ROA)は2月14日、「性急な飛行再開は乗組員の命を危険にさらす」とした声明を発表し、警鐘を鳴らしています。
即時撤去を
しかし、日本で危険にさらされるのは乗組員だけではありません。日本には自衛隊を含め44機が配備されています。米軍は昼夜問わず市街地上空を平然と飛行し、日本政府は航空法の最低安全高度をはるかに下回る高度60メートルの超低空飛行まで容認。米軍の無法を野放しにし、住民を危険にさらしています。構造的欠陥機オスプレイは即時撤去以外にありません。









