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2024年2月26日(月)

アンケート答えないと請求不可

診療報酬を“人質”に「マイナ保険証」圧力

厚労省

 「アンケートに答えないと、収入になる診療報酬の手続きができない」―。医療機関から困惑の声が上がっています。そのアンケートの送り主は厚生労働省。どんな中身なのでしょうか。(矢野昌弘)


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(写真)診療報酬を請求しようとすると、現れたアンケート画面。回答しないと閉じない仕組みです(画面をプリントしたものを撮影)

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(写真)マイナンバーカードの読み取り機を説明する井上美佐院長=大阪府守口市の北原医院

 医療機関は、毎月5日から10日までの間に、前月分の診療報酬を得るため、支払基金などに請求書(レセプト)を提出します。

 大阪府守口市にある北原医院では、いつも井上美佐院長がオンラインで提出しています。

閉じる機能なし

 今月5日、井上院長が支払基金にレセプトを送ろうとしたところ、アンケート画面が出てきました。

 内容は「マイナ保険証利用促進状況に係るアンケートのお願い」というもの。画面には、閉じるマークやスキップする機能がなく、答えないと、レセプト提出画面にたどり着けない仕組みでした。「診療報酬を“人質”にしたアンケートの強制だった」と井上院長はいいます。

 アンケートは「マイナンバーカードの保険証利用の促進のための取組で実施しているものを、以下の中から全てお選びください」となっていました。

 選択肢は「受付窓口での声かけを『保険証、見せてください』から『マイナンバーカードお持ちですか』などに切換え」などの5項目です。

 井上院長は「厚労省側は、どの医療機関が何と答えたか、知る立場。私たちはレセプトを審査される弱い立場です。どう答えるか、不安がよぎりました。『選択肢にあることをやらなければ、あかんのや』という圧力に感じた。こうしたアンケートはやめるべきだ」と話します。

現行廃止するな

 今年秋に政府は、現行の健康保険証を廃止するとしています。一方で、「マイナ保険証」での受診は低調です。厚労省はこの間、「マイナ保険証」が普及しないのは、医療機関が窓口で使用を求めないことが原因かのような発言をしています。

 井上院長は、開業医らでつくる全国保険医団体連合会の副会長でもあります。

 「能登半島地震を見ても、受診するのに『マイナ保険証』しか使えないことの不便さが想像できます。現行の健康保険証を残そうという運動が実る可能性はあります。もっと声を上げたい」


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