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2024年2月26日(月)

海自集団参拝 25年超前から

侵略美化の遊就館も「拝観」

靖国神社社報に掲載

 海上自衛隊練習艦隊司令官らが2023年5月に靖国神社(東京都千代田区)に集団参拝した問題で、少なくとも1998年からほぼ毎年制服での集団参拝を25年超も続けていたことが25日、本紙の調べでわかりました。昨年の集団参拝について酒井良海上幕僚長は「研修の合間に、個人が自由意思のもとで私的に参拝した」と説明していますが、実際には部隊の恒例行事だった疑いがさらに深まりました。(取材班)


「靖国」に掲載された海自幹部の靖国参拝
年度 参拝日 参拝者数
派遣予定の幹部候補生
2023 5月17日 165
約160
22
21
20
19 5月16日 191☆
約190
18 5月16日 200☆
約190
17 5月16日 196☆
約190
16 5月16日 205☆
約190
15 5月18日 172
約170
14 5月20日 119
13 5月20日 177
12 5月19日 195
11 5月18日 189
10 5月21日 199
09 4月10日 187
08 4月9日 192
07 4月18日 186
06 4月17日 187
05 4月15日 196
04 4月14日 176
03 4月21日 182
02 4月17日 180
01 4月12日 152
2000 4月8日 170
1999 4月21日 160
98 4月18日 160
※☆は遊就館拝観の記載があった年。参拝者数は「靖国」、派遣予定の幹部候補生は海自の発表から作成。20~22年は記事なし

 本紙が、同神社の社報「靖国」の記事を98年から調べたところ、98~2019年まで毎年、集団参拝の記事が掲載されていました。

 「靖国」(23年7月号)によると、「遠洋練習航海は、この春に幹部候補生学校を卒業したばかりの初級幹部に対し、各部隊への着任直前に行われている。(中略)出発前には当神社へ正式参拝に訪れている」としています。

 新型コロナウイルスが世界的に流行していた20~22年は、航海の時期と規模を変更して行われました。その間は「靖国」に集団参拝の記事がありませんでした。

 98年6月号の記事は「幹部実習生は黒の制服姿で殿内に整列し、古庄幸一司令官の奉る玉串拝礼に合わせて拝礼を行い、先輩諸英霊の冥福と遠洋航海の安全を祈念した」としています。

 16年には「遊就館を拝観した後に本殿に参拝した」とあり、17~19年も「遊就館拝観後に正式参拝した」と報じています。

 境内にある遊就館は、旧日本軍の侵略戦争を美化する展示施設。第2次世界大戦を「大東亜戦争」と呼び、「正義の戦争」としています。

 酒井海幕長は20日の会見で、「遊就館に研修として訪問していないと認識している。自由時間に行ったかどうかは把握していない」と述べていましたが、集団参拝と遊就館拝観がセットになっていた疑いがあります。

 海自は公表資料で、練習航海に参加する幹部候補生課程修了者の人数を明らかにしています。例えば15年は「約170名」となっていますが、同年の「靖国」には「(司令官と)初級幹部等172名」が参拝したとしています。

 酒井海幕長は「個人が自由意思のもとで私的に参拝」としています。しかし、毎回の参拝者数が幹部候補生と司令官を合わせた人数とほぼ一致することから、事実上研修の一環の可能性があります。

 防衛省は本紙の取材に「練習艦隊として、靖国神社を参拝した事実は確認していません」と回答しました。

 部隊参拝や参加の強制を禁じている1974年の事務次官通達に違反するかどうかについて、木原稔防衛相は「事実関係の確認は進めていきたい」(22日)と述べています。

写真

(写真)海自遠洋練習航海部隊の靖国神社参拝の記事が載った「靖国」。「遊就館拝観」と記述した号もありました


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