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2024年2月22日(木)

きょうの潮流

 子どもへの虐待が疑われる事件がまたもや相次いでいます。子どもたちの幼い命を救うことはできなかったのか▼2022年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談は、21万9170件で過去最高になっています。相談への対応件数は毎年増えており、10年前の3・3倍。20年前と比べると9倍以上にもなります。毎年、50人前後の子どもが虐待で死亡しています▼背景には貧困の拡大や子育てへの公的支援が足りない中で、親たちが経済的にも精神的にも追い詰められていることなどが指摘されています。人に冷たい政治の在り方が、ここでも深刻な影を落としています▼虐待事件が相次ぐ中で、22年には民法が改正され、親の子どもに対する「懲戒権」が削除されました。親による子どもへの体罰を容認している印象を与えるとして批判されてきたこの規定がなくなったことは一歩前進です▼しかし、増大する虐待の問題に、対応する児童相談所の体制が追い付いていません。対応する児童福祉司は専門的で慎重なかかわりが求められる事例を多数抱えて、夜中まで駆け回らなければならないといいます。政府も児童福祉司増員を進めていますがまだ人口2万人に対し1人程度。欧米では専門職が人口数千人につき1人いるのに比べると極めて少ない水準です▼わずか数年で人生を奪われる子どもたちをこれ以上出してはなりません。政治のありようを変えることを含め、子どもの命と人権を守るための国民的議論が求められます。


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