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2024年2月16日(金)

論戦ハイライト

自民裏金 歴史と全体像暴く

衆院予算委集中審議で塩川議員

写真

(写真)質問する塩川鉄也議員=14日、衆院予算委

 自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり14日に行われた衆院予算委員会の集中審議。日本共産党の塩川鉄也議員の質問を通じ、自民党が裏金づくりを組織的に行っていたことが鮮明になりました。パーティー収入が形をかえた企業・団体献金となり、財界本位に政治をゆがめる役割を果たしてきた歴史と実態も明白に。裏金問題の全体像を暴き出した質問を振り返ります。

組織的・長期にわたって慣習化

塩川 選挙のために使ったか

首相 他の年より多いという実態ある

 今回の裏金事件で問われるのは、自民党が組織的に政治資金規正法に抵触する違法行為を行っていたという疑惑です。

 派閥による組織的な裏金づくりの実態については、自民党が行った全所属議員への調査結果にその一端が示されています。

幹部関与

安倍派参院議員の「不記載」額
  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
2019年改選 橋本聖子 202万円 1566万円 289万円    
世耕弘成 102万円 604万円 360万円 476万円  
堀井 巌 102万円 308万円 116万円 198万円 152万円
丸川珠代 6万円 304万円 100万円 195万円 217万円
西田昌司 35万円 142万円 126万円 68万円 40万円
石井正弘 48万円 132万円 84万円 42万円 72万円
赤池誠章 10万円 160万円 38万円 32万円 28万円
太田房江 40万円 158万円 16万円    
酒井庸行   54万円 2万円 2万円  
22年改選 末松信介 2万円   40万円 132万円 410万円
佐藤 啓 36万円 32万円 22万円 2万円 214万円
江島 潔 12万円 28万円 38万円 62万円 140万円
松川るい   10万円 58万円 48万円 88万円
自民党「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査結果」から作成

 調査結果には「一部の派閥が還付金を収支報告書に記載しないよう所属議員等事務所に指導していた」と明記。塩川氏は、組織的関与を示すこの一節を示して安倍派幹部らが裏金づくりにどう関与したのかを岸田文雄首相にただしました。

 塩川 誰がどのように違法行為の指示を行っていたのか。

 首相 清和政策研究会において指摘のような指示が事務方を通じてあった旨、一部の議員側から報告があった。それ以上の内容は(自民党内の聞き取り調査の)とりまとめ結果をふまえて答える。

 塩川氏は「組織的な違法行為が継続していたのに、誰が指示したかも明らかにされないのでは、国民は納得できない」として安倍派幹部らの証人喚問を求めました。

 裏金が選挙のために使われたのではないか―。裏金の使い道に関しても、組織性が強く疑われます。調査結果では、2019年と22年に改選となった安倍派所属の参院議員の裏金の金額が改選年に増えています。(表)

 塩川 裏金は選挙のために使ったのではないか。改選時に(政治資金収支報告書への)不記載額が大きくなっていると認めますね。

 首相 確かに、選挙の年、他の年より多いという実態はある。

 塩川 まさにそこが問われている。金の力で選挙をゆがめるようなことがあってはならない。

 改選時に裏金の額が大きくなっている議員がいる実態を岸田首相も認めざるを得ませんでした。塩川氏は選挙買収に使われていないかなど徹底解明を求めました。

各紙報道

図

 安倍派では組織的な裏金づくりが20年以上にわたって行われ、慣習化していた疑惑も強まりました。塩川氏は、証言や報道を示して2000年代初めには裏金づくりが始まっていたと追及しました。

 安倍派幹部だった萩生田光一議員は、2003年の初当選後、パーティー券販売のノルマ超過分を「活動費として戻す」と派閥事務局から説明されたと証言しています。

 04年9月10日付の「赤旗」では、清和政策研究会が所属議員に配る「もち代」「氷代」の1億円もの支出を5年にわたり収支報告書に記載していなかったと報道。05年3月10日付「東京」は共同通信の配信記事として清和政策研究会がノルマを超えてパー券を販売した議員に、資金を還元し「裏金化」していたと報じていました。

 塩川 安倍派の裏金づくりというのは2000年代初めから始まっていることになるのでは。

 首相 (聞き取り調査で)取りまとめられる報告書のなかでどこまで確認できるか判断したい。

 岸田首相は聞き取り調査を理由に答弁から逃げ続けましたが、裏金づくりがいつから始まったか徹底解明が必要です。

 塩川氏は「当時の清和政策研究会会長の森喜朗元首相をはじめ関係者の証人喚問を」と求めました。

パー券 企業・団体献金の抜け穴

塩川 パーティー収入なぜ増

首相 頻繁に行われた等想像される…

 さらに塩川氏は、政治資金パーティー収入が形を変えた企業・団体献金であることを追及。企業・団体献金がいかに政治をゆがめてきたのか、腐敗の構造を明らかにしました。

99年3.6倍

グラフ

 自民党派閥の政治資金パーティー収入の推移(グラフ)をみると、1998年の3億6500万円が99年には13億1600万円と3・6倍に急増しています。その背景に何があるのか。

 塩川 自民党派閥の政治資金パーティー収入がこんなに増えたのはなぜだ。

 首相 パーティーが頻繁に行われた等が想像される。

 「なぜ増えたのか」という核心部分を答えることができない岸田首相。99年には政治資金規正法の改正で、派閥への企業・団体献金が禁止となりました。パーティー収入の急増は、自民党の主な資金源が「企業・団体からの献金」から、「政治資金パーティー収入」にシフトしたことを物語っています。

 塩川氏は「派閥への企業・団体献金は禁止されたのに、その企業・団体献金の『抜け穴』として派閥の政治資金パーティーが活用、拡大されてきた。その下で裏金づくりが始まったのではないか」と強調しました。

政策買収

表

 営利を目的とする企業や業界団体が政党や政治家に献金するのは「見返り」を求めるためです。企業・団体献金は政治買収であり、本質的には賄賂です。

 30年前には、リクルート事件、佐川急便事件など金権腐敗事件が相次ぎ、「カネの力で政治をゆがめるのは許されない」という国民の批判が巻き起こりました。当時は、自民党への企業献金をあっせんしてきた経団連も、「来年(94年)以降、あっせんは行わない」と表明せざるを得ませんでした。

 ところが、あっせん中止から10年たった2003年。経団連は「企業献金を含む民間の自発的な寄付の意義を再確認すべき」だと「献金の促進」を打ち出しました。経団連として、政党の“通信簿”ともいうべき「政策評価」を示して、会員の企業や業界団体に呼びかけて自民党へ献金をあっせんするという形で、企業献金を復活させました。露骨な政策買収です。

 塩川氏は、この腐敗構造の下で政治が実際にゆがめられてきた実態を告発。財界・経団連が「政策評価」で一貫して要求してきたのが「法人税は下げろ」、「消費税は上げろ」、「原発は再稼働」であり、「これを忠実に実施してきたのが自民党政治の20年間だった」と批判しました。その上で、自民党が20年間で受け取った企業・団体献金が464億円にも上ると指摘しました。(表)

 塩川 政治をゆがめる企業・団体献金は、きっぱりと禁止すべきだ。

 首相 自民党の政策判断は献金に左右されるものではない。

 岸田首相はこう居直り企業献金の温存の姿勢を示していますが、企業・団体献金の禁止に踏み込まなければ、政治腐敗の根は断てません。

 塩川氏は「投票権・参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものだ」と述べ、企業・団体献金全面禁止法案を実現するよう求めました。


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