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2024年2月14日(水)

主張

自民党「裏金調査」

反省のないアリバイづくりだ

 党ぐるみで犯罪行為を行ったという自覚も反省もないのでしょうか。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、同党が13日発表した所属全議員を対象にしたアンケートの「調査結果」です。「(政治資金収支報告書の)不記載の実態把握に努める」(岸田文雄首相)と言いながら、調べた期間は2018~22年の5年分にすぎません。調査項目も、収支報告書への「記載漏れ」の有無とその金額の2点だけです。裏金システムがつくられた経緯や裏金の使い道などは不問にしています。自ら引き起こした裏金事件に真剣に向き合った姿勢とは言えません。

言い逃れ可能な自主申告

 今回の裏金事件は、自民党の主要派閥がそろって政治資金パーティーにおける収支報告書を偽造していたという重大な組織的犯罪行為です。最大派閥だった安倍派では90人以上の「裏金議員リスト」が既に報じられています。

 ところが、「調査結果」では調査対象にした党所属全議員374人と選挙区支部長10人のうち、パーティー収入の還流などの「記載漏れ・誤記載」の議員・支部長は85人にとどまりました。議員本人による自主申告のため、実際裏金の受領があったとしても「ない」と逃れることができるのです。

 調査の範囲を5年分に限定していることも真相解明を妨げています。麻生派では、調査期間に含まれない18年以前に裏金を還流していたことがわかっています。

 また安倍派の裏金づくりについて萩生田光一前政調会長は、すでに20年前の04年の時点でパーティー券の販売ノルマ超過分を現金で渡すシステムが存在していたことを記者会見で明らかにしています。安倍派の裏金処理は「会長案件」と言われており、同派の元会長で存命中の森喜朗元首相への聞き取りが不可欠です。しかし岸田首相は「聞き取りの範囲について適切に判断する」と森氏に聞こうともしません。「調査」とは名ばかりで、“全議員調査を実施した”というアリバイづくりのためのアンケートです。

 自民党がアンケート調査と同時並行で行っている安倍派、二階派、岸田派の議員を主な対象にしたヒアリング結果は今回明らかにされませんでした。このヒアリングで確認する調査範囲は3年分で、しかも森山裕総務会長らによる身内調査です。

 収支報告書を訂正した安倍派の萩生田氏、高木毅前国対委員長らは収入・支出の総額も翌・前年の繰越額も「不明」と記入して済ませようとしています。裏金の全容解明どころか実態を隠蔽(いんぺい)し、幕引きをはかるなど絶対に許されません。

国会審議で実態解明急務

 裏金の使い道では、公職選挙法違反の選挙買収や、公選法が及ばない総裁選の資金、所得税法違反の脱税となる私的流用などが考えられます。こうした裏金の実態解明が必要です。

 組織的犯罪行為との認識も反省もできず、小手先の「調査」で幕引きを企てる岸田自民党に政権を担う資格はありません。

 日本共産党など野党の国会論戦を通じて裏金の全容解明を行うときです。企業・団体献金の全面禁止を実現し、国民の声が通る政治のため自民党政治を終わらせましょう。


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