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2024年2月12日(月)

収支訂正“不明”だらけ

自民裏金 萩生田氏の政治資金

ずさん会計か 違法隠しか

 自民党派閥のパーティー収入不記載事件を巡り、議員側が訂正した政治資金収支報告書のずさんな実態が明らかになっています。最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)幹部の萩生田光一前政調会長が代表を務める自民党支部は、過去3年分の収支報告書を訂正しましたが、収入・支出総額を「不明」と記載しました。(丹田智之)


 萩生田氏側は、安倍派からパーティー券の販売ノルマ超過分のキックバックを受け、収支報告書に記載していませんでした。

 同氏は2018~22年までの5年間の不記載総額は計2728万円だと公表。このため同氏が代表の「自民党東京都第24選挙区支部」は公開義務がある20~22年分の収支報告書を2日に訂正しました。ところが―。

規正法違反も

 「収入総額」「前年からの繰越額」「支出総額」「翌年への繰越額」の全てに二重線を引き、いずれも「不明」としました。

 支出のうち「交際費」の一部と総額を「不明」としました。「支出の目的」や「金額」なども「不明」になっています。訂正により収入、支出が分からない状態になっています。

 収支の不記載や虚偽記載は、政治資金規正法が定める5年以下の禁錮または100万円以下の罰金にあたる可能性があります。

 訂正の際、同支部は「収支の一部に不明なものがありますが、判明次第訂正します」と記した宣誓書を東京都選挙管理委員会に提出しています。

 訂正の経緯について、都選管の担当者は「同支部から『記載された数字が正しくない』ということで訂正の申し出があった。不明の部分が確認できたら、その部分を訂正する約束で受理した」と説明します。この担当者は、一般論として「分かっている部分を『不明』とする記載は適切ではない。領収書を紛失した場合は、相手方に再発行してもらう。きちんと帳簿をつけていれば『不明』は生じない」といいます。

 本紙は萩生田氏の事務所に「不明」の理由についての説明を求める質問状を送りましたが、期限までに回答はありませんでした。

議員辞職せよ

 安倍派の不記載を東京地検に告発した神戸学院大学の上脇博之教授(政治資金オンブズマン代表)は、同支部の訂正について「帳簿をつけていないなど、ずさんな会計処理をしていたのではないか。そうでなければ、違法性がある不適切な支出を隠そうとした疑いもあります。いずれにしても悪質だ」と指摘します。

 上脇氏は「『不明』の部分を明確にすれば済む問題ではなく、政治資金を裏金化していた事実は国民に対する背信行為です。萩生田氏は説明責任を果たさず、法令順守の意識も欠いている」として「議員辞職するべきだ」と述べています。

図

(写真)自民党の萩生田前政調会長が代表の自民党東京都第24選挙区支部が訂正した政治資金収支報告書=20~24年分のいずれも収支が「不明」と訂正されています


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