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2024年2月12日(月)

きょうの潮流

 大河ドラマ「光る君へ」が始まり、「源氏物語」がブームになっています。記者も冒頭を習った高校以来初めて現代訳を参照しながら読んでみました。実に面白い▼帝(みかど)の寵愛(ちょうあい)をうけた桐壺更衣(きりつぼのこうい)を、他の女御(にょうご)たちは嫉妬して、宮中を歩くのを通せんぼしたとか、なんとおとなげない。若き光源氏が初めて通った空蝉(うつせみ)は源氏を振り、最初の恋はあえなく失恋におわるとか…。心情を描いた変化に富んだ話が続きます▼作者、紫式部の教養も随所に見え、こんな物語論もあります。「いいことでも悪いことでも、世間にある人の有様で、見るにも見飽きず、聞いてもそのままにしておけない、後の世までも伝えさせたいことのふしぶし」を書き留めたのが物語の始まり。「皆それぞれにほんとうのことで、この世のほかのことというのではありません」(谷崎潤一郎訳)▼時の権力者、藤原道長は「源氏物語」の評判に目を付けました。一条天皇の気を引くため、娘の中宮・彰子のサロンに紫式部をスカウト。紫式部は宮中で物語を書き継ぎました▼「光る君へ」の脚本を担当した大石静さんは「『源氏物語』の行間には、紫式部の権力批判と深い人生哲学がある」と話しています。ドラマは、道長と紫式部(まひろ)が子どものときに出会っていたという設定です▼かつて母を道長の兄に殺され、苦しむまひろ。それを知って思い悩む道長。大石さんが「私の使命は何なのか、と考える自我の強い女性」として描く現代の紫式部物語のゆくえも楽しみです。


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